116話:ニンフェアとプルーニャの戦い
10階のボス部屋の前に辿り着きました。
18階、17階と苦戦を続けましたが、16階に上がるころにはニンフェアとプルーニャも魔物を倒せるようになり、15階の小部屋で一泊しました。
翌日からは殲滅速度も上がり、お昼になるころにボス部屋の前まで来たのです。
「すごいですね、ニンフェアとプルーニャは二人ともレベル80に到達しましたよ!」
「お~いつの間にかそんにゃに上がってたのニャ~」
「80か・・・ソフィー様、情報操作をお願いします。おそらく新しいスキルが取得可能になってるはずです」
あ~そういえばわたしが140になった時、(NEW)と表示された新スキルがありましたね。80で取得できるのでしょうか?
「いきますよ~【付与魔術:情報操作1】」
情報操作を受けてニンフェアの目が空中を彷徨います。左から右へそしてまた左へ。
「きたっ!!」
急にニンフェアが叫びました。何かいいスキルがあったのでしょうか?こっそり見てみましょうか?鑑定。
【ニンフェア・プラトリーナ】
妖精族:女
種族特性:浮遊
年齢:19
レベル:80(SP40)↑up
身長:141cm↑up
体重:37kg
B:78cm↑up
W:55cm
H:75cm↑up
力 :D
体力:D
俊敏:B
器用:C↑up
英知:A↑up
脳力:A↑up
魔力:AA↑up
スキル:爆発4(10)
雷撃2(3)
短距離転移1(1)
幻想1(2)
身体強化1(2)
飛翔1(1)
魔法耐性2(3)
石化耐性1(1)
毒耐性1(1)
麻痺耐性1(1)
睡眠耐性1(1)
魅了耐性1(1)
斬撃1(1)
拳闘1(1)
隠密1(1)
縮地1(1)
料理1(1)
踊り子1(1)
応急措置2(3)(計36)
取得可能スキル:貫通1、斧術1、体術1、剛腕1、忍耐1、俊敏1、農耕1、行政1、娼婦1、調合1、音楽1、操船1、火炎1、暴風1、魅了1、豪腕1(3)(NEW)、精神強化1(3)(NEW)、魔法強化1(3)(NEW)、転移1(5)(NEW)
くっ・・・胸が・・・いえ、今はそれは置いておきましょう・・・
取得可能スキルに新しいスキルが4つ追加されています。一個は相変わらずの近接用ですが・・・
「きたよ!きたきた!精神強化に魔法強化だ!」
「ほんとニャ!?ソフィー!わたしにもお願いニャ!」
ニンフェアとプルーニャがわいわいと新しいスキルについて盛り上がっています。とゆーか盛り上がり過ぎなのでは?
ふとオルテンシア様を見ると微かにほほ笑んでいます。
「よかったですね、ニンフェアさん、プルーニャさん」
「ありがとうございますオルテンシア様!」
ニンフェアがおよそ彼女らしくなくはしゃいでいます。ここまでずっと落ち込み気味のオルテンシア様を励ましているのですね。
「オルテンシア様のおかげだニャ。ありがとニャ」
「お役に立てたのなら何よりです」
ニンフェアたちはレベル30以上上がりましたが、わたしはわずか5上がっただけです。140もレベルがあったので仕方ないですけど。
わずか2のスキルポイントですがどれか上げてみましょうか?一体どれを上げましょうかね?力か脳力か・・・情報操作・・・
『・・・それがソフィー様の「情報操作」を受けると完全に選べるのです。そしてこのスキルランクが1であることも意味があると思います。可能性ですが、これから先ランクがあがると取捨選択も可能になるのでは、と。いらない「スキル」を消しスキルポイントに戻し、ほしい「スキル」を得る・・・』
そういえばニンフェアがこんなことを言っていましたね・・・
情報操作を2にしてみましょう。
「残りスキルポイントが4しかないね。一気にレベルが上がり過ぎて勝手に変なスキルも覚えちゃってるよ・・・転移は覚えられないか~それなら・・・「ニンフェア」・・・あ、はい?なんですか?ソフィー様」
「受けてみてください。【付与魔術:情報操作2】!」
わたしの付与魔術がニンフェアを包みます。ニンフェアはいつもと違う色の付与を不思議そうに見ています。
「情報操作は今頂いていますが・・・2!?」
わたしの意図に気づきニンフェアが再び目を忙しく動かします。
「すきる・・・削除・・・!?」
情報操作2はニンフェアの言っていた通り、スキルを削除してスキルポイントに戻すことができました。
「ははは・・・あはははは!斬撃1削除!拳闘1削除!料理1削除!いつのまにこんなのが・・・踊り子1削除ぉっ!!魔法強化1取得!転移1取得!あはははは!!」
ニンフェアが壊れました・・・踊り子ですか、一度ニンフェアの踊りも見てみたかった気もします。
「ミストレス、10階のボスはニンフェアさんとプルーニャさんに任せてみませんか?」
「「「えっ!?」」」
「もちろん付与は必要ですが、お二人ならなんとかなるでしょう」
オルテンシア様がそうおっしゃるなら大丈夫なのでしょうか?まあ、いざとなったらオルテンシア様が助けてくれるはずですし・・・
「わたしとミストレスは部屋の外で待っていましょう」
「「「え!?・・・」」」
ギィッ
ボス部屋の扉を開けた。
「プルーニャいくよ!」
「あ、あいニャ!!」
大丈夫、オルテンシア様がそうおっしゃるならボクとプルーニャで倒せるはずだ。
ソフィー様からすべての付与も頂いた。ボクもプルーニャも情報操作2でスキル構成も万全だ。
「この初手で雑魚は一掃する!【爆発4】!!」
ソフィー様から範囲拡大4を頂いた爆発魔法4だ!!
16倍に範囲が拡大された爆発魔法4は、真ん中のボスを中心に部屋中を大爆発に巻き込んだ。
四方八方に飛び散るハーピーの肉片が光の粒になって消え去る。
取り巻きのハーピーは一掃した。ボスはハーピークイーン、レベルは100。19階の敵とほぼ同クラスだ。
「いくニャ!」
プルーニャがダマスカスダガーを構えてハーピークイーンに肉薄する。
多少は爆発でダメージを与えたはずだ!一気にケリをつけるよ!
プルーニャの鋭い突きをハーピークイーンは羽ばたきで起こした突風で勢いを殺す。
ハーピークイーンは人間の女性の上半身を持ち、両手は翼になっている。腰から下が羽毛に覆われ足の先は鋭いかぎ爪だ。
ガキンッ!ガキンッ!
ハーピークイーンは空中に浮き、足のかぎ爪でダマスカスダガーを弾く。まるで金属だ。
上から攻撃されてはプルーニャの身長で届くのは足の先のみ。
「ニャアアアアアッ!!」
プルーニャはかぎ爪の一撃をしゃがんで躱すとそのまま飛び上がり、ハーピークイーンの心臓目掛けてダマスカスダガーを伸ばす。
しかしその攻撃は羽ばたき一つで防がれ、巻き起こった突風でプルーニャの身体は空中高くに放り上げられた。
「【雷撃2】!」
「キィイイイイイイイッ!」
すかさず放ったボクの雷撃はハーピークイーンの超音波で散らされダメージを与えられないが、その隙に空中で態勢を整えたプルーニャがハーピークイーンの頭に回し蹴りを叩き込んだ。
反動で距離が開いたプルーニャにハーピークイーンの反撃が始まる。空中にいくつもの氷の槍が現れプルーニャに向かって殺到した。
「【短距離転移1】!【爆発4】!」
プルーニャの前に転移すると爆発魔法で氷の槍を吹き飛ばす。爆発の煙をカモフラージュにプルーニャが再びハーピークイーンに迫る。その目の瞳孔は縦に長くなり、虹彩は赤く光っていた。
間もなく付与をしてから20分になります・・・付与が切れたらニンフェアとプルーニャは・・・
「オ、オルテンシア様、助けに行った方がいいのではないですか?・・・」
わたしの後ろのヒルガオとリロッコも心配そうです。
オルテンシア様はお二人がボス部屋に入ってからずっと扉を凝視しています。いえ、鑑定10と索敵10で中の様子を見ているのでしょう。
ギィッ・・・
扉が開きました!?
「ははは・・・なんとか倒したよ・・・」
「もうダメニャ・・・少し寝かせて・・・ニャ」
二人ともボロボロになって倒れ込んできました。
オルテンシア様が両手で二人を抱え、
「良く出来ました。がんばりましたねニンフェアさん、プルーニャさん」
オルテンシア様に抱きつくように二人とも寝てしまいました。服はあちらこちらが裂け、体中擦り傷だらけです。
わたしより年上の二人ですが、身体はわたしより小さいのでかわいい寝顔はまだ幼く見えます。
「ニンフェア、プルーニャ、ゆっくり休んでくださいね」




