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幕間17話:ドラゴンロード

「準備はいいか?」

「「はい」!」

「おおよ!」


 前衛はオルテンシア、俺が左、トゥリパーノとステッラが右だ。

 全員出来る限りの準備をし、速攻で片をつける!


 オルテンシアは黙っていたことをすべて話してくれた。俺の病気を治すために自己修復機能が停止していること、力と体力と俊敏が大幅に低下していること、長引くと勝ち目がなくなることを。

 そして戦闘開始直後の勝率が51%、その後負傷するたびにその数値が落ちていくことを。


「出し惜しみはするな!最初から全力だ!いくぞっ!!」


 扉の前に進むと床がスイッチとなっており扉が自動で開いていく。


 ボスのいる大部屋は奥が暗闇に溶ける程広く、左右の壁も暗くて見えない。そして部屋の中央に巨大な塊がうずくまっている。


「先制します!【光線エネルジーア・ラッジョ10】!!」


 オルテンシアの合図とともに目を閉じ両手で耳を塞ぐ。凄まじい轟音と光をばら撒き「光線」というより3m程もある白い円柱がオルテンシアの右腕から飛び出した。

 光線は真っすぐ伸びて眠っているドラゴンロードに命中した。ドラゴンロードは床に丸まって寝ており折り曲げられた首は翼になっている両手で覆っていた。


 ギャオオオオオオオオオッ!!


 ドラゴンロードが咆哮を上げ立ち上がる。両方の翼の真ん中に大きな穴が空いており、右目が抉れ頬に傷が出来ている。


「魔法耐性でダメージを減らされました!ブレスに注意してください!」


 さすがに一撃では無理か・・・ドラゴンロードが大きく息を吸っている!?ブレスか!


「【竜撃覇1】!!」

「【乱れ撃ち2】!!」

「精霊さんお願い!土砂魔法1【岩弾(ぐらにーとみっしれ)】!!」

「【光線エネルジーア・ラッジョ10】!!」


 ドラゴンロードが炎のブレスを吐き出すのと同時に、全員の攻撃が襲い掛かる。

 ブレスと光線が拮抗し、ぶつかった所にプラズマが発生する。俺の竜撃覇はドラゴンロードの横っ腹に命中しているがたいしたダメージを与えられていない。トゥリパーノとステッラも同じようだ。


「出力低下!右腕冷却!光線途切れます!」


 ドオオオオンッ!!


 オルテンシアが飛びのくと次の瞬間ブレスの残り火が地面を焦がす。


「出力70%に低下!回復まで光線は使えません!」

「おう!【竜撃覇1】!【竜撃覇1】!!」


 負傷しているドラゴンロードの右目を狙って竜撃覇を放つ!


 グガアアアアアッ!!


 一発は翼に防がれたがもう一発が右目をさらに負傷させた!


「【乱れ撃ち2】!!」

「精霊さん!頑張って!暴風魔法2!【竜巻(とるなーど)】」


 トゥリパーノも右目を狙って乱れ撃ちを放つ。空中で分裂し20本ほどに増えた矢の雨がドラゴンロードの右目に殺到する。ステッラの竜巻は翼の被膜を狙いそれをズタズタに切り裂いた。


 ガコンッ!


 オルテンシアは冷却中の右腕ではなく左腕を突き出すと、折れ曲がった手首から6本の砲身が現れた。


「ガトリングガン!」


 ズガガガガガガガガガ!!


 オルテンシアのガトリングガンが火を噴き、無数の弾丸が右目の周辺に突き刺さる。ここまで順調に攻撃してドラゴンロードの体力を削っていたが、ドラゴンロードの尻尾の一振りで形勢が逆転した。


 ブオンッ!!


「がはっ!」


 俺は丸太よりも太い、人間の身長ほどもある尻尾の直撃を喰らい吹っ飛ばされた。その瞬間意識を失くしたがなんとか剣は手放さなかった。地面に撃突した衝撃で意識を取り戻したが、受け身も取れず腕が変な方に曲がっていた。


「マスター!!」

「オルテンシア!!攻撃に集中しろ!!がはっ・・・お前が戦線を維持しないと・・・トゥリパーノとステッラが死ぬぞっ!!」


 俺の言葉に一歩俺に近寄ったオルテンシアの足が止まる。一瞬の逡巡ののち再び攻撃を再開した。

 それでいい。俺は痛みをこらえながらなんとか起き上がり右手一本で剣を構える。これだけのダメージ、オルテンシアのドーピングがなかったら即死だったな・・・


「はぁはぁ・・・左腕に、あばらも何本かいかれてるか・・・」


 たった一撃でこのざまとは・・・今の俺は1%の戦力にもなれないかもしれない・・・





「くそっ!俺の矢じゃほとんどダメージを与えられねえ!」

「わたしの魔法もです!」


 マスターが気になって仕方ありませんが命に別状はなさそうです。今はドラゴンロードを倒すことを考えましょう。


「トゥリパーノは顔を集中的に狙ってください!ステッラは地震でドラゴンロードの動きを封じてください!」

「「わかりました!!」」


 固まっていてはまた尻尾の攻撃で全滅しかねないので3方に分かれました。ドラゴンロードの狙いはわたしです。ドラゴンロードが再び大きく息を吸い込み始めたのでわたしも右腕を向けます。出力92%!


 ゴオオオオオオッ!!


「【光線エネルジーア・ラッジョ9】!!」


 出力がやや落ちましたが、ドラゴンロードも負傷でブレスの威力が落ちていたためまたもや拮抗しました。

 わたしの回復速度とドラゴンロードのブレス間隔がほぼ同じ。無駄撃ちをさせることができればいいのですが・・・


「精霊さん!お願い!土砂魔法1【地震(てっれもーと)】!!」


 ブレスを吐いていたドラゴンロードの足元が揺れ動き、バランスを崩してブレスが天井を直撃しました。

 ドラゴンロードが尻もちをつき首をこちらに向けると、


「【乱れ撃ち2】!!もいっちょ!」


 乱れ飛んだ40本の矢がドラゴンロードの顔面に突き刺さります。


「よしっ!左目もいただきだ!」


 数本がドラゴンロードの左目に突き刺さっていて両目を潰すことに成功しました。


 ギャオオオオオオオオオッ!!


 ドラゴンロードが身体を回転させ再び尻尾による攻撃です。さすがのわたしでもコレの直撃は危険です。遠心力のついた重量兵器は下手なスキル攻撃よりやっかいです。


「尻尾が来ます!退避してください!」


 トゥリパーノとステッラが尻尾の攻撃範囲から避難します。わたしは軽くジャンプして躱し、着地と同時にダマスカスソードを抜いてドラゴンロードに突撃します。


 ブオンッ!!


「!!尻尾攻撃2回転!?」


 グルっと一回転したドラゴンロードはそのままもう一度回転して、2回目の尻尾攻撃を繰り出してきました。


 地面を蹴り付けて空中に浮いている状態では回避が出来ません。回転スピード、着地までの時間、わたしの足が地面に着くより攻撃が命中する方が早い・・・


「オルテンシア様!伏せて!!」


 伏せるも何も、まだ地面についてないのですが・・・ステッラがこちらに手のひらを向けて「精霊さん!」と叫んでいます。間に合わないでしょうがどちらにしてもダメージを減らすために、手足を丸めて顎を胸につけます。


「土砂魔法1【土の(ぱれて・でぃ・すぽる)(ちぃーじあ)】!!」


 ステッラの言葉に応じて一瞬でナノマシンが地面を持ち上げます。厚さ3mほどの土壁、地面が堅い岩で出来ているので岩壁が1mほどの高さにまで伸びた時、ドラゴンロードの尻尾が岩壁を打ち砕きました。反動で逸れた尻尾がわたしの髪をかすめて上を通り過ぎていきます。

 地面を転がって受け身を取ると尻尾の付け根を踏みしめて跳躍し、今度こそドラゴンロードの背中にダマスカスソードを突き立てました。


 ギャオオオオオオオオオ!!


 ドラゴンロードは痛みの為か暴れまわっています。チャンスです。出力86%、今なら光線で!

 その時、暴れた拍子にドラゴンロードの尻尾が先ほどの岩塊を弾き飛ばしました。その先には・・・


「きゃああああああ!!」

「ステッラ!!【光線エネルジーア・ラッジョ8】!!」


 ステッラに向かって飛んだ岩塊をわたしの光線が破壊しました。


「あ、ありがとうございます、オルテンシア様・・・」


 ステッラは腰が抜けたのか地面にへたり込んでしまいました。無事で何よりです。それよりドラゴンロードはっ!?振り向くとドラゴンロードが大きく息を吸い込むところでした。ブレス!?目が見えないのにどこを狙って!?そう思ってドラゴンロードを見上げると左目が薄く開いていました。矢が3本刺さったままですが見えるようです!そして視線の先には・・・


「トゥリパーノ!逃げてください!!」


 出力53%、光線を使ったばかりなので出力が大幅に落ちています。冷却しなければ使い物になりません・・・


 トゥリパーノが走ってドラゴンロードの横に回りますが、ドラゴンロードの視線がそれを追いかけます。


 逃げられない・・・


 その時マスターの声が聞こえました。


「オルテンシア!!トゥリパーノを救ってくれっ!!ごふっ・・・」

「マスター!!」


 血を吐き出しながら剣を杖に立ち上がったマスターの姿がありました。マスターの命令です!必ず遂行しなければ!!


「【光線エネルジーア・ラッジョ6】!!」


 ボオオオオオオオオッ!!


 ドラゴンロードより一瞬早くわたしの光線がドラゴンロードの顔面を吹き飛ばしました!

 炎は明後日の方向に吐き出され、トゥリパーノは地面に身を伏せて躱しました。


 ジジジジ・・・ボンッ!


 過負荷に耐えられなかったわたしの右腕が、ショートを起こし吹き飛びました。


「オルテンシア様!?」


 ステッラがわたしの身を案じて走り寄ってきます。ショートの影響で体中に紫電の糸が飛び出します。ヒューズのいくつかが切れたようです。


「大丈夫です。アンドロイドなので痛みはありません、それよりドラゴンロードは!?」


 顔から煙を上げているドラゴンロードの身体がぐらっと傾きます。


 倒した!?


 そう思った時、ドラゴンロードの足が地面を踏みしめ持ちこたえました。頭の右半分が吹き飛んでいますので放って置いても死にそうですが、まだ死んでいません!!トドメをささないと!


 左腕のガトリングガンを構えて、発射!!


 ガキッ!


 え!?・・・左腕のガトリングガンを発射しようとしましたが、砲身と砲身の間に岩がはさまり発射不能状態になっていました。他の武器はニードルガンとレーザートーチ、いずれも射程が5mほどしかありません・・・わたしの戦闘力がほとんど無くなりました。


「トゥリパーノ生きてるか!?」

「あ、ああ!」


 マスターの声にトゥリパーノが身を起こします。


「オルテンシアとステッラを連れて転移室に退避しろっ!!」


 マスター!?何を言っているのですか・・・


「俺がトドメをさす!!」

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