第十四話 二度目の帰還
――修二、麗奈、あと五木さんへ
俺はこっちの世界に残ろうと思う。元の世界に戻っても俺には家族もいないし、友達もいない。こっちではニーナばあやとクーンがいて正直楽しい。
俺のことは死亡したことにしてくれてもいいし、向こうに残ったと言ってもいい。そこは君たちで勝手にやってくれ。携帯電話もこっちじゃ使えないので置いておく。
今度(異世界に)来たら声かけてくれ。じゃあな、元気でまた。
時雨――
ベッドの上で僕はまた時雨からの手紙を読み返した。
(時雨は初めから戻る気がなかったんだな……)
携帯電話は好きにしてくれと言われたが正直困った。
警察に調べてもらったのだが、時雨は一人暮らしだった。両親は死別して、親戚中を動いていたようだ。脱走して警察に捕まってそのあと保護施設に住んだり、いろいろと大変だったみたいで、高校卒業後には受験に失敗して四月から予備校生だったらしい。家賃も滞納していて、お金の当てがなく、頼れる人もいないようだと教えてくれた。
僕と麗奈は警察が来る前に時雨のことをどうするか話し合って、正直に話すと決めていた。親戚は生きているようだが時雨には全く無関心で、携帯電話と手紙は僕のところに戻ってきた。
僕の方はというと、こっちの世界へ戻ってから警察に保護されてまた病院へ入院となった。前回と違って体は全く問題ない。だが今日で入院二日目になっている。
世間はいま大騒ぎだった。僕と麗奈が二回目の転移をして帰還したこと、向こうで殺された人たちの生徒手帳や免許証を回収してきたこと、死亡扱いだった五木さんが一緒に戻ってきたこと。
そのどれもがニュースで大々的に扱われていた。
世間は僕と麗奈、あと五木さんを追いかけまわすので、不必要な事故が起こらないように僕は病院に住んでいる。すぐに母親と妹に電話したが、母親である黒田恵美はすごく心配していたと言ってくれる。が、妹の黒田明里は『どうせ、また向こうで変なことしてきたんでしょう?』と疑うことしか考えていないようだった。
(信用なし……)
二人はいままで大家の星置さんからアパートを借りていたが騒ぎが大きくなりすぎて、セキュリティのしっかりしたマンションに移り住ませてもらっていた。
病院では採血などの検査のほかにやることがなく、魔素術の練習、トレーニングと稽古、スポーツ新聞や週刊誌を読むぐらいしかやることがなかった。週刊誌の表題には『美少女 二回目の帰還、生存者を連れて帰る』となっていた。
(俺、いないじゃん)
しばらくして病室のドアがノックされた。入ってきたのはまたもや戸倉警部、佐々岡警部補、青木巡査だった。
「やあ、有名人」
佐々岡警部が気さくに声をかけてくる。
「別になりたくてなったわけではありません。それに知っていることならもう全部話しましたよ」
「そう怒らないで。二回も失踪して戻ってくる人なんて、一生に一度会えるかどうかだよ」
「佐々岡さん、僕のこと馬鹿にしているでしょ」
二回目となるとさすがに打ち解けていた。
「今回の君たちが持ってきた情報は非常に有用だったよ。特にまだ生存者が向こうにいる可能性がある以上、警察としてはなんとしても所在を確認して、生きて戻ってきてほしいんだ」
そういうとまたドアが開いて、さらにスーツ姿の二名が病室へ入ってきた。
「紹介しよう。防衛省大臣秘書官の藤原正嗣さんと、陸上自衛隊司令部所属の板垣健介さんだ」
「初めまして」
そういって戸倉警部が紹介した二人と握手した僕は、なぜ彼らがここに来たか目的がわかっていなかった。彼らの顔を見ていると、あぁそうかと佐々岡警部補が話を再開する。
「向こうに生きているけど帰れなくなった人がいることがわかって、警察は帰還させる方法を検討しているんだ。その件で今日は君に相談があってきた」
「単刀直入に言おう。君に生存者の帰還に協力してほしい」
隣にいた秘書官の藤原さんという人が前に出てきた。
そういわれてようやく事態がわかってきた。次に僕の前に細かい印字がされた書類を出された。
「これは……いったい……?」
「契約書だ」
「どういう内容ですか?」
「政府の依頼内容と契約書だ。よく読んで受けるか決めてくれ。簡単にいうと君は政府と契約して雇われることになる。こちらの依頼内容は、
一、日本人の安否確認、生存者の救出とこちらへ連れ戻すこと
二、向こうの世界の詳しい情報
三、こちらと向こうの世界の往復方法の確立
である。政府はこの件を非常に重視している。君たちの話を聞くと、また土地ごと消える可能性、こちらへ魔物が入ってくる可能性などが想定される。現実に二百人以上が一度に消えているのだから、その逆も想定している」
正直僕はうんざりした。
政府からの依頼と言っても、僕の行動を制限する以外の何物でもないと思った。やりたいのならば政府側の人たちが勝手にやればいい、僕にはこちらの世界で授業を受けてお金を稼いで、大学卒業と生活を安定させるのだ。
そう思った。
「少し時間をください。検討してまた連絡させていただきます。ただ、率直に言うと依頼は断ろうと思っています。僕は自由に行動がしたいと思っています」
「そうか……。君とは仲良くなれると思っていたのに残念だ。破格の契約金に、さらには成功報酬も出るのに……」
僕はすぐに署名した。
******
翌日、病院から突如退院になった。僕を引き受けてくれる人が出たらしい。本人の承諾もなしに全く勝手な対応だと思った。
病院から出ようとすると、先日とは比較にならないぐらいの報道陣が待ち構えていた。パーカーのフードを深くかぶった僕は警察に保護されつつパトカーに乗り込んだ。パトカーの横には、佐々岡警部補と青木巡査が両サイドに座った。
「まるで犯人の移送ですね」
笑ってごまかす佐々岡警部補に僕は続けて聞く。
「ところでどこへ向かっているんですか?」
実はまだ行き先を聞いていなかった。もしや大家の星置さんの家に匿われるのか?なんて思っていた。
「安全なところだよ」
ニヤっとした顔で返事をする警部補をみて、僕は嫌な予感がした。
そのままパトカーは田園調布へ向かい、そのうち見たことのある長い塀が視界に入ってきた。
(まさかっ⁉)
そのうち大きな屋敷に着き、門が自動で開かれる。正面の家の玄関には、笑顔の如月美琴さん、無表情の重蔵さん、そして般若の顔をした葵が立っていた。
******
「いただきます」
「いただきます」
「ひゃぐだきむぁす」
口の中のどこもかしこも切れていて豪華な食事のはずが……。
血の味しかしない……。
葵宅に送り届けられた僕は逃げ出すこともできずに、そのまま葵に引っ張られて道場へ連れていかれた。着替えることなく竹刀を持つように言われた僕は構えると、葵が凄まじい連撃を打ち込んできた。身体能力を抑えて防御に徹したが、同じ条件では葵の打ち込みを防ぐことはできず、体を複数個所打撲した。
(そこまでは良かったんだよ)
あぁ、この程度で済んだかと僕は油断していた。
玄関で迎え入れてくれた時の葵の顔つきをみると、この後怒られるのは避けられないと思っていたからだ。一通り折檻が終わり、向こうでの出来事を話していたら、油断していた僕はつい野盗討伐の夜に麗奈と一晩いたことをしゃべってしまった。
その瞬間、急に葵が笑顔になって折檻が再開され、今に至る。顔面は腫れ上がってしまい、何を食べても血の味しかしないし、うまくしゃべれないのである。
(キスまでしたのをしゃべっていたら、手足を斬り落とされていたな)
それほど葵は不気味だった。動体視力が上がっていたつもりだったが、なぜか葵の剣筋は良く見えなかった。特に後半。全身が痛くて風呂も短めにして休ませてもらった。僕はしばらく葵の家に匿ってもらうこととなり、本日は就寝する。
『反省したか?』
(お前がいうな、指輪)
『色男は大変じゃのう』
(うるさいぞ)
『そんなこというな。おかげで回復の魔素術の練習がはかどるわい』
(さっさと教えろ)
『回復の魔素術は自分の属性との相性がある。水と光の属性は相性がよい。対して火などの攻撃力の高い魔素術は回復系の術と相性が悪い。しかし覚えられないと決まっているわけではない』
(そうだと信じたい)
『自分の魔素を全身に巡らせて、体に働きかけるのじゃ』
(魔素術は想像力、だったな)
まず顔面に自分の魔素を集めて治癒に働きかけた。その日僕は一晩中練習したが、口の中に広がる血の味が変わることはなかった。
******
葵の自宅で過ごすことら数日。
またこちらでの日常を取り戻しつつあったが、異世界から帰還した人たちが葵宅に呼ばれた。集めたのは意外にも重蔵さんで、その場には僕、葵、麗奈、直樹、それに五木さんがいた。
「なぁ、修。今日は何の用なんだ」
「僕も聞いてないんだ」
襖が開いて重蔵さんが入ってきて座るよう促した。全員で六人、円になるように座った。
「忙しいところすまんな。今日はどうしても皆に話がしたくて集まってもらったのじゃ」
そう切り出した重蔵さんは皆に話し始めた。
「まず、無事に皆ここにいることをうれしく思う。ここに集まった者たちは異世界からの帰還者である。そして……実はわしも帰還者である」
(やはり……)
先日の道場でのやりとりから、予想をしていた僕はそれほど驚かなかった。
「おいおい、本気かよ」
直樹が言う。
「嘘ではない。今から四十年以上前にわしを含む複数の村が、この世界とは違う世界に突如呼ばれた。そこは戦争の真っ最中で、人が大勢死んでおった。呼び出したのは人間で、戦っていたのもまた人間じゃ。戦争に勝つために強いものを召喚する目的だったようで、呼び込まれたわしらは、いきなり戦闘に巻き込まれて戦う術を知らない大勢が死んだ。戦えないとわかったら、わしらを呼び寄せた人間どもはおとりとして使うことに作戦変更したようじゃった。わしも両親と生き別れ、戦場を無我夢中で駆け抜けた。気づけば武器を手に取り、向かってくる人間を手当たり次第に殺していった。生きるために、な」
葵が聞く。
「おじい様はどのようにしてこちらに戻ってきたのですか?」
ごもっともな質問である。
「わしは皆に生かされて、どうにか戦場を抜け出して近くに潜んだ。その時点で呼ばれた仲間は周りに数人しかいなかった。そこから街へたどり着き、言葉を覚え、どうにか生活が安定した時には向こうで二年以上が経過していた。何か一歩間違っていたら、そのまま朽ち果てていたに違いない。とあるときに、初めに呼び出された戦場に戻る機会があり、そこで偶然自分が呼ばれたときの『門』を見つけた。わしらのよばれた『門』は地面に描かれた広大な魔素術であり、わしらを呼び寄せるために近隣の村を潰して人柱としていたことが後からわかった。」
みな黙って聞いている。
「怒りに震えて魔素のコントロールが効かなくなったわしに『門』が反応したのじゃ。仲間に諭されて落ち着きを取り戻した後に『門』の反応をよく探ると、放出した魔素の量で輝きが違うことに気づいた。魔素が強いほど強く輝き、そちらの世界へ呼び込まれたときに似ていたのじゃ。そこで仲間を集い、全員で協力して魔素を放出して『門』の反応を誘った。初めは失敗じゃった。しかし体内に持つ魔素の量は倒した生物の数に比例するとわかり、しばらくは魔物討伐に明け暮れた。最後にはどうにかこうにかこちらへ戻ってくることが出来た」
「重蔵さん。二年以上もこちらにいなかったのであれば、戻ったときに大騒ぎになったのでは?」
僕が聞くと、当時は今ほど情報伝達手段が発達していないから、村全員が消えたのは夜逃げかと噂されていて、戻ってきてもそれほど騒ぎにならなかったと教えてくれた。
「戻ってきた自分を含め村人は三人しかおらず、村では元通りに生活はできないので、都会へ行った。当然金を稼ぐ方法を知らないので、すぐに社会のはみ出し者となった。しかし、わしはこちらでも魔素を使えたからのう」
ハッハッハッと笑いながら重蔵さんは続けて語ってくれる。
「ケンカ事にしょっちゅう駆り出されて事件を治めているうちに、そのうちヤクザの組抗争にも駆り出されて、気づけばそれなりの地位になっておった。ある日、強くて折れない男がいるということで呼ばれ、わしの師匠となる人に出会った。軽くあしらう予定だったわしは逆にコテンパンに叩きのめされ、その武術を教えてほしいと願って弟子入りを懇願した。その時にケンカ商売から身を引いたのじゃ。そして、師匠の娘がわしの妻じゃ。葵、そなたの祖母にあたるのぅ」
「まぁ、そうでしたのね」
「この家は師匠の名義であった。わしは師匠に教えてもらった武術を広めるため、警察への指導を始めた。自分と同じような境遇の者に出会うことを密かな楽しみとしてな」
重蔵さんは僕の方をみた。
「さっ、修よ。立て、手合わせじゃ。魔素を存分に使うがよい」
そういうと重蔵さんは立ち上がり、唖然とする僕に仕掛けてきた!
(葵にしてこの祖父ありかっ! 冗談じゃないっ!)
一歩で距離を詰めて、すさまじいスピードで顔面に拳を繰り出してきた重蔵さんを、反射的に僕は顔ごと体を後ろに反らせて両手を畳について、足で腹を蹴って体を吹き飛ばす。……はずだったが、その攻撃は読まれていたようで躱されてしまった。一度距離を取り、座る四人をよそに僕と重蔵さんがにらみ合う。お互いに一歩を踏み出そうとした瞬間、僕と重蔵さんの間をビュっと炎のレーザービームが横切った。そこには指を立てた麗奈が座っていた。
「実は、私も魔素術がこちらで使えるんです。正確には使えるようになった、ですね」
僕は言葉を失った。
「一回目の帰還では間違いなく使えなかったのですが、この間戻ってきたときには魔素術が使えるようになっていました」
「二回往復すると使えるようになるのか?」
「いえ、それでは重蔵さんは条件に合わないと思います」
麗奈と直樹のやり取りに毒気を抜かれた重蔵さんは僕に仕掛けるタイミングを逃してまた座った。
「私も使えませんが、直樹も間違いなく使えませんか?」
「ああ、そうなんだ。何度試しても全然術が発動しない」
葵と直樹が話していた。
「ええと……こちらで魔素を使用できる条件についてはまた相談しましょう。今日集まったのは重蔵さんの話を聞くためでもありますが、私はこれから修がどうするのか直接聞きたかったのです」
「んー。実はまたあっちへ戻ろうかと思う。というか戻ることにした」
病院で防衛省と警察の人に会ったことと生存者を探す依頼を受けたことを皆に伝えた。
「では、私もついていきます」
麗奈が即答する。
「向こうは日本と違って不安定だ。それにいくらでもやばい事件はあっただろう。とても麗奈を連れていける状況じゃないよ」
「実は私も同じ内容を打診されていました。私は保留にしていましたが、修はどうしたのか気になっていました。返事を確認できましたので、私も行こうと思います」
「僕はいつもそうだけど、最後の最後は自分の意思だと思っている。それでいいのならもう止めないよ」
オホン! と大きな咳払いがして、葵が割り込んでくる。
「修様が行くのならば、私もついていきます。二人だと心配ですし……」
後半は聞かなかったことにしよう。直樹と五木さんに僕は、
「直樹はどうする? それに五木さんもどうしますか?」
と聞いてみた。
「んー、おれはそうだな。行こうかな。特にやることねーし」
直樹が力ない返事をしてきたが、それは嘘だった。
彼には実はいま付き合っている女性がいて、その彼女は僕が向こうで大学校舎屋上から飛び降りるときに助けた坂本紀香さんだった。大学二年で、校舎ごと向こうの世界へ呼び寄せられたときに巻き込まれてしまった。僕が助けたはずなのに、最後に回復術を使ったのは直樹でそこで縁ができたらしい。その彼女との楽しい時間を削って一緒に向こうへ行ってくれるというのだから、直樹は優しいのだと思った。
それにしても……
(なんで僕じゃないんだ。助けるために一緒に飛び降りたんだぞ)
『それ以上おなごと仲良くすると次は眼玉をえぐり取られそうじゃ』
(ごもっとも)
『葵という女性に、麗奈という女性。おぬしはどうしようもない男じゃな』
(うるさいぞ、指輪)
「あー、えーと。ちょっといいか?」
さっきから黙っていた五木さんがしゃべった。
「俺は正直戦闘が好きじゃあない。だが何かの縁でこうして君たちと知り合えたんだ。その依頼内容をみると君たちは今後こちらとあちらを往復するのだろう。ならばそれをマネジメントできる人が必要なんじゃないか? 幸いにも俺はあちらのこともかじっている」
「たしかに」
五木さんの言うとおりだった。この間政府と警察にうまくはめられて署名してしまった僕は軽率だった。
「五木さんは大丈夫なんですか?」
「俺は一人身だし、会社も引退している。戦闘では手助けできないが、世間の汚さは知っているつもりだ。どうだ?」
「では五木さんにお願いしたいと思います」
その場で全員が五木さんと契約することになった。後日書類を送ると言った五木さんはそれぞれの住所と連絡先を書き留める。
「向こうへいったら当面の目標は……」
政府との契約もそうだが、こちらに来るのに奴隷になっていた五木さんの解放と引き換えにウォン商会と約束した護衛の件もあるので、ひとまずそれらを目標にまず約一か月の日程を組んだ。
「わしも今回は行くぞ」
「「「「「えっ⁉」」」」」
みんな驚いた。
「かわいい孫娘が行くんじゃから当然じゃ」
(そこは止めないのか……)
つくづく重蔵さんと葵は戦闘狂だと思った。最後に出発を四日後に設定して僕らはその日解散した。
解散してから僕は稽古と準備に明け暮れた。
魔素術は想像力だったというので出発までの間に、雷や電気、さらに人間の身体構造や医学について知識を高めるのに関係する本を読み漁った。雷は当然として、まったく反応しなかった回復術はこのままではまずいと思って必死だった。出発前には集中すれば瞬時に小さな切り傷程度ならなるぐらいになった。
母親には政府と契約した百万単位のお金を預けた。後ろにいた妹が少しの間だけ悲しげな顔をしていたが、預けた通帳をみるとニコニコして送り出してくれた。
「お兄ちゃん、いってらっしゃ~い。頑張って行方不明の人、いっぱい見つけてきてねー」
(なぜ、お前が契約の内容を知っているんだ!!)
出発当日、空は快晴だ。
早朝に元大学校舎の呼ぶ『門』に集まった。近づいて分かったが、周囲一帯は封鎖されていて、門となくなった大学校舎を囲むように壁が建設されていた。見送りに来てくれた佐々岡警部補に聞いたら、周囲の土地を政府が買収して、一帯を管理する予定のようだ。建設中の壁も向こうからの侵入に備えての措置で、警備隊を配備して一般人が近づけないようになっていて、周囲の景色は以前と大きく変わっていた。
「では行きましょうか!」
僕は呼ぶ『門』で魔素を放つと再び異世界側へ吸い込まれた。
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