10,三人トリオ
「あんたこれからどうすんだ? 番長」
アリスターンを送る道中、愛雅が問う。
既に大概の事情は説明してもらった。
自分たちが不思議体質持ちのファンタジーだのに、異世界だなんだのファンタジーを否定するのもバカバカしい。
と言う訳で、それはすんなり信じた上で、愛雅と善央は今後を考える。
「どうすんだ、って言われても……」
「愛雅、こう言う時は『どうしたいんだ?』が適切じゃあないかなー?」
「ん。それもそうだな。で、どうしたいんだ?」
「どうしたいって……」
アリスターンは思い出す。
自分を、この世界に送ってくれた魔法使いの事を。
自分のせいで……いや、自分のために、命を懸けてくれた人の事を。
「……諦めるつもりはないわ。アタシは絶対に、この世界で幸せになってみせる」
「へッ、そうでなくっちゃあな」
「うふふー、愛雅、すっごく嬉しそうだねー?」
「んな、べ、別に喜んでなんてないぜ? まぁ、良い心掛けだとは思うがよ」
「はいはい、わかりやすーい、わかりやすーい。……でも、実際問題、帝国が今後も何かちょっかいかけてくる可能性、あるよねー? どう対処しよっか?」
「来たら殴るでイイんじゃあないか? その内、来なくなるだろ」
「それしかないねー」
「ちょ、対策が雑過ぎない?」
「じゃあ、他に何かあんのか?」
「無い……けど……それだと……あんたらに迷惑が……」
「「?」」
愛雅と善央は二人同時に小首を傾げる。
「何か問題があるのか?」
「そりゃあ……」
「僕ら二人組だよ? アリス先輩一人を守るくらい訳無いってー」
「さすがに世界まるごと救えとか言われたら無理だが、あんた一人くらいなら面倒を見れるっつーの」
「うんうん。そーだ。今後の安全管理のためにも、アリス先輩も僕らと一緒に住む? 愛雅が僕と一緒に寝ればベッドがひとつ空くし」
「それは空くとは言わないだろ」
「僕と寝るの嫌なのー?」
「決して嫌じゃあないが、確実に狭くて無理があるだろうな」
小さい頃はよく一緒の布団で寝たものだが。
高校生の体格でそれを再現すると地獄になりそうだ。
「一緒に暮らすにも、他の手を考えないとだな」
「……あんたら、何でそこまでしてくれんのよ?」
「はぁ?」
何を言っているんだこの番長、と愛雅が驚いたような顔。
善央はうふふ、と笑い、
「アリス先輩が言い出した事だし。僕らと先輩は友達だーって」
友達ならこれくらいはするでしょ、と、愛雅と善央はナチュラルに語る。
「……はは、何それ」
アリスターンは思わず、笑ってしまう。
「あんたら、最高!」
「どわッ……いきなり何すんだ」
「肩組みよ肩組み! 仲良しJK三人組と言ったらこれでしょ!?」
「いやだから俺らJKじゃあないし」
「うふふー、でもこう言うの、愛雅も嫌いじゃあないでしょー?」
「……まぁ」
「よぉーし! 信号機トリオ、これからもよろしくね!!」
「いや、そのトリオ名はもう少し考えようぜ」




