イベント③:「アイアム マスク・ド・トランプ!」
【導入フェイズ/イベント③:「アイアム マスク・ド・トランプ!」】
トランプ:Yes,
トランプ:I am!
フリーランスとして生きる者には、ある特徴がある。
トランプ:美しいか否か。
それは、どんな法を破ることになろうとも、自分で決めたルールだけは守る、ということ。マスク・ド・トランプにとって、そのルールとは「美」であった。
トランプ:つまり私は美しい。
自分か!
トランプ:美しい行いをする私は美しい。自明の理だ。
――今日、君のアカウントにDMを送ってきた依頼人は、果たして君の眼に適う「美」か否か。まあ受けてもらわないとGM的にアレなんだけどね(本音)。
トランプ:せやろな。
トランプ:「そう、私こそがマスク・ド・トランプ。リアルの私をどうぞご覧あれ」
トランプ:さる政治家の事務所に招かれた私はいつものように挨拶する。
トランプ:今回はツイッター経由だったのでリアルの私を強調しておく。
GM:なるほど、会いに行くタイプなんだ。
ポリッシュ:会いに行けるヒーロー。
トランプ:サインもいかがかな?
トランプ:DMでやり取りをした上で落ち合う場所を彼の事務所に指定したのだ。
白原:「おお……本当に会いに来てくれるんですね」政治家です。
マスク・ド・トランプ:腹黒そうな政治家だ
柴田:まあうん、わかるわ……(笑)
白原:そんな。しろはらだっていってるじゃないですか。
※腹黒そうな政治家
どどんとふで行うセッションは立ち絵でキャラクターイメージを示すことができる。彼のビジュアルとしてGMが用意したのは、コミュ障でネトゲ廃人で記憶の地平線とか見にいっちゃいそうな腹黒眼鏡だった。
トランプ:「これはしたり。私は請われればたとえ地球の裏側であっても馳せ参じよう」
白原:「まずは、捨てアカウントでの連絡で申し訳ありません。こちらも、ネット上で監視とかされているもので」
トランプ:「で、あればこそ。当人の事務所であれば盗聴の危険は少なかろう」
トランプ:私が事務所に足を運んだ理由のひとつがそれだ。
白原:「なるほど。噂に違わぬ御仁のようで、恐れ入りました」
トランプ:「世辞はいい。本題に入ろうではないか」
GM:ではですね……社会判定的な技能がないっぽいので、トランプさんなら下調べは済んでいそうだということでOKでしょう!
GM:彼、「白原」氏は、ヒーローの大ファンであることを公言して、その活動の支援に尽力している政治家です。
トランプ:やったねジャスティス・パープル!
柴田:スポンサードヒーローに……!!
トランプ:パープルは元ヒーローだから支援は受けられないかもしれない。
ポリッシュ:活動してないヒーローはヒーローとは言わないんだよ?知ってるかい?
GM:彼はヒーローの減退の一因はガーディアンズ・シックスの組織体制にあるとして、そこから改善していこうとG6代表陣にたびたび交渉を申し入れていることでも有名です。
トランプ:初動の鈍いG6。
柴田:るるぶのワールドパート(G6)斜め読みしなおしたけど、初動が遅いとか、本部が吹っ飛んだとかいろいろ書かれてて草。
アリス:PCが所属してる場合を除いて基本噛ませ犬ポジだからな!
GM:で、そうやって目立つから、潜在的なヒーローアンチに炎上させられたり、実害的なところではファクトなどの悪の組織に狙われたりしたこともあります。
ポリッシュ:初動が早くてもヴィラン相手に「うわーダメだー!」というのが仕事のG6。
※「うわーダメだー!」
PCだけが立ち向かえるという状況を説明するため、また、敵の圧倒的な強さを描写するために、「うわーダメだー!」と蹴散らされる戦士たちは必要な犠牲である。できれば「あ、これダメなやつだな」と諦観せずに、「彼らに任せておけばもう安心だ!」「そんな!精鋭チームでも敵わないなんて!」と大いに持ち上げて花道を整えてあげよう。
白原:「……ということで、ようやくG6を相手に会議を開くところまでこぎつけたのですが」
トランプ:脅迫状でも届いたかな。
白原:脅迫状は毎日届くのでもうキニシナイことにしています。
白原:「内容が内容なだけに、ヴィランの襲撃も警戒しなければならない。そこで、あなたに護衛を頼みたいのです」
トランプ:「ひとつだけ聞きたい」
トランプ:「なぜ私を選んだ?」
トランプ:クエリーイベント(ではない)
白原:逆クエリーイベントだぁ!
後から思い返せば、この時から白原の運命は……
おっと、これは皆さんにとってはまだ先の話でしたね。
白原:「理由はふたつあります」
トランプ:「ふむ」 聞こう。
白原:「ひとつは、私はあなたに洗われたら恥ずかしいような経歴はもっていないから」
白原:「もうひとつは……あなたのファンでもあるからです」
ポリッシュ:あとSNSやってて連絡つきやすいから。
トランプ:引退して連絡つかないヒーローよりはね…。
柴田:ふふふ……(とおいめ
トランプ:「いいだろう」 右手を差し出して握手を求める。
白原:「! いいんですか!」 手を差し出す。
トランプ:白原とシェイクハンドする。交渉成立だ。
GM:やったぜ!
トランプ:そして、手をはなした彼の手には一枚のカードが貼り付いている
白原:「いやぁよかった……ん?」 カードを見る。
トランプ:ダイヤのジャック。そして私のサイン入りだ。
白原:「……おお、これは」
白原:「お願いする前に貰ってしまうというのも、何だか気恥ずかしいですね」
トランプ:「ダイヤのジャックはかのヘクトールを示す。貴公の行く先も彼のように開けることを祈ろう」
※ヘクトール
ちょっとヘンな性格の主人公……ではない。トロイの木馬で有名な、トロイア戦争の英雄。なんやかんやあって人妻と駆け落ちしてきた弟の尻拭いのために戦争した(悪意ある解説)。
トランプ:まあトロイア戦争だとヘクトールの方が負けるんですけど。
白原:えっ僕死ぬの…?
ポリッシュ:その後死体を曳き回されるよ。
トランプ:人はみな死ぬのだ。何を為したかだ。
トランプ:トランプの絵札の人だってみんな死んでるんだから何を渡したって同じさ!
そのように依頼を請け負い、そして会議当日。
君は白原と連れだってガーディアンズ・シックス本部を訪れた。ここまでヴィラン襲撃の気配はない。一安心か、と思ったとき、『事件』は起きた。
G6代表:「……なに、バスジャックだと?」
トランプ:今日は赤のスーツにしよう。
G6代表:「しかも幼稚園バス…」「世間の関心を煽るな…」「どうする、マスコミ対策にいつもより倍の数のヒーローを投入し…」「いやしかし人手が…」
GM:だんだん、キナくさい会話になっていく。
トランプ:私は涼し気な顔で(仮面で表情は見えないが)立っている。
白原:(……何か、事件があったようですね)
トランプ:『バスジャックだと聞こえた』腹話術とイヤホンマイクで彼にだけ話しかける。
白原:(バスジャック…)
G6代表:やがて、代表の誰かが言った。「そういえば、ここに護衛役のヒーローがいたな」
G6代表:「なら彼に行って貰うのはどうだ?」「それはいい。第一級のヒーローだ、数でアピールするよりも効果がある」
G6代表:「何より、こんな事件など、あっという間に解決してくれるであろうな」
トランプ:「断る」 よく通る声で遮る。
G6代表:代表たちの熱い視線が、ターレットレンズ越しにトランプに…断った!
G6代表:代表たちはすっかりその気だったのでたじろぐ。
トランプ:「私の現在の雇い主は彼だ」 白原を見て。
トランプ:「たとえG6であろうと、誰であろうと、今の私に指図する権利は貴公らにはない」
白原:「……」
G6代表:代表を何だと思ってるんだ!とぎゃあぎゃあと騒ぐが、
トランプ:∪・ω・∪ なんてダメな連中だ。私は白原を応援します!
白原:「マスク・ド・トランプ」 と同じくよく通る声で言うと、場は静まり返る。
白原:「本部までの護衛、ご苦労さまでした。ここはもう大丈夫でしょう」
トランプ:「良いのかね? ここを襲撃するための陽動かもしれんぞ」
白原:「それでも」
白原:「罠だとわかっていても、駆けつけるのが、ヒーローというものでしょう」
白原:君からもらった、サイン入りトランプを入れた胸ポケットをポンと叩く。
トランプ:「……よろしい」 ビシッ、とスーツの襟を正す。
トランプ:「貴公の言葉は美しい。私も依頼を受けた甲斐があるというものだ」
白原:「……では」 言葉を待つ。
トランプ:「幼稚園バスを襲うなどと弱者を甚振る真似は、まったくもって美しくない」
トランプ:「このマスク・ド・トランプが彼らの美を正して魅せよう」
トランプ:バッとカードの吹雪が巻き起こると、その場にマスク・ド・トランプの姿はもうなかった。
G6代表:「よく言った!」「任せた!」「期待しているぞ!」(ギャーギャー
トランプ:∪・ω・∪ カードは君たちで掃除してくれたまえ
白原:「……頼みましたよ。マスク・ド・トランプ」
GM:そして白原は掃除を押し付けられた。
トランプ:哀れな
ポリッシュ:人材不足すぎない?この組織。
トランプ:騒がしいG6を置いて次のシーンに移ろうではないか
GM:ウィムシュー。
三者三様に、バスジャック事件を覚知したヒーローたち。
この奇妙な巡り合わせは、運命か、それとも……