エンディング
【余韻フェイズ/エンディング①:マスク・ド・トランプ】
トランプ:では私のシーンからいこう。
トランプ:舞台はセットするので後はGMに任せる。
GM:お、おう。
トランプ:ざっくり言うと
トランプ:勾留中の白原(元)議員に差出人不明の手紙が届く。
GM:ふむふむ。
トランプ:開けてみると中にはカードが一枚。ダイヤのジャックだ。
トランプ:白原はこれがマスク・ド・トランプからのものであることに気づき、
トランプ:なんかそれっぽいことを白原が言ったら終わりです。
GM:まさかGMが笑点の回答者側に回るとは……。
トランプ:私はクエリーを投げかける者。マスク・ド・トランプ。
白原:……一連の騒動の裏側を告白し、議員を辞職。あれから拘留生活が続いている。
白原:どうも僕の罪状がいまいち定まらずに議論が続いているらしい。直接手を下したわけではない、という事実は、当人に罪悪感があればあるほど辛い。
トランプ:当事者のヒジョーキンがコア回収されてしまったから確認できないし、狂言の可能性が無きにしもあらず。あと洗脳とか。
白原:今日も隣の檻から聞こえてくるデラッペwwwwデラッペwwwwという奇声に頭痛を悩まされて一日が終わる……。
GM:「白原さん。手紙が届いています」
白原:看守が持ってきたものは、いつも僕に届く脅迫状の類のものではなかった。
白原:「これは……ダイヤのジャック……?」
トランプ:ダイヤのジャックはかのヘクトールを示す。貴公の行く先も彼のように開けることを祈ろう。
GM:『ダイヤのジャックはかのヘクトールを示す。貴公の行く先も彼のように開けることを祈ろう』
トランプ:かぶった!
GM:かぶった!
まるっきりコントである。
白原:「……ヘクトールか。生きてはいるが、僕も今、死体を晒しているようなものか」
白原:「だが、それでいい。無様を晒すのも、道を外れた者の役目のひとつ」
白原:「その務めをきっちり果たしたら、また、戻らせてもらいますよ」
白原:「あなたたちの側に、ね…」
GM:白原はそう呟き、ダイヤのジャックが描かれたトランプを胸ポケットに納めた。
彼の運命は、大きく変わった。それはひとえに、マスク・ド・トランプとの出会いによるものだろう。
誰かの人生をよりよい方向へ変えること。それもまた、ヒーローをヒーローたらしめる力なのだ。
GM:それっぽいこといったからきった!
トランプ:いいエンディングだった。さすがはPC3だ。
パープル:PC3とは一体……!
アリス:PC3 #とは
白原:社会復帰したらネトゲにはまって
白原:記憶の地平線をみにいったりするPC③です。
トランプ:結果的にセル○シアの世界がよりよくなったのだからいいのだ。
【余韻フェイズ/エンディング②:セイバーアリス】
アキラ:「本当に来ないのか?珍しいな…じゃ、戸締まりはよろしくな」
ポリッシュ:「ああ、行ってらっしゃい、アキラ。何かあったらLINEで知らせて」 自分と大差無いサイズのスマホを掲げて。
アキラ:「魔法じゃないんかい…まぁいいや。じゃ、いってきます」
アキラ:そう言って学校へと向かう。
ポリッシュ:「いってらっしゃい」
アキラ:無機質な表情のままのぬいぐるみが手を振る。
ポリッシュ:「…さて、行ったね」
?:「クロックワーカー拘留用の義体は完成したかい?…あぁ、初めて鹵獲したクロックワーカーだからね。5年前には考えもしなかったものだけど」
?:「そうか。それじゃ…」
ポリッシュ:「こっちはもう用済みだね」
ポリッシュ:そう言い、ヒジョーキンのコアを解体、精神体を引きずり出しスチームガーデンへと転送する。
ヒジョーキン:一言も口を挟めなかったz(転送
?:「やぁおはよう、ヒジョーキン。気分はどうだい?」
?:「気に入っていたようだからね。身体は同じ姿にしてあげたよ」
ヒジョーキン:「いいわけないだろ。冗談抜きで、タマを握られてる状態なんだからよ」
?:ミニチュアのバイクに精神を封じ込めたヒジョーキンに語りかける。
ヒジョーキン:「……まあ、気に入ってたってのは否定しねえよ」
ヒジョーキン:「アイツ(ロードウォリア)、バイクの操縦がうまくてな。自走じゃ出せないスピードに到達したときは、気持ち良かったもんだ」
?:「それは良かった。何だかんだでキミもあっちの世界を気に入っていたんじゃないか」
?:「しかし本来ならキミたちクロックワーカーは国家反逆罪で即死罪なのだけどね。いやいや、僕も5年でヌルくなったかね。どう思う?」
ヒジョーキン:「……そりゃ、アンタも気に入ったってことだろ」
ヒジョーキン:「あっちの世界の、ヌルいやり方をよ」
?:「ふーん、そんなものかな。自分じゃよく分からないや」
ヒジョーキン:「だったら、直に行ってみたらどうだ?」
?:「おいおい、僕まで肉体を捨てて機械化なんてしろって言うのかい?冗談じゃない」
?:「確かに僕はあの世界のこと、気に入っているけどね」
ヒジョーキン:「……へぇ」 自分でいっておきながら、少々意外に思おう。
「僕は僕の、このスチームガーデンが大事なんだよ。何よりもね」
「だからスチームガーデンを守るためなら、敵だろうと生かすし」
手のひらサイズのヒジョーキンを弄びながら。
「あっちの世界の人間の信用だって勝ち取ってみせるさ」
ヒジョーキンからは影になって分からなかったが、確かに、彼は笑っているように見えた。
「言ったろう?僕は合理的なんだよ」
ヒジョーキン:「…セイバーアリスに、本気で同情するとはなァ」 ため息がわりにブルンと排ガスを吐いた。
?:「ははは、キミに同情されるほどあの子も落ちちゃいないよ。じゃぁ、また来るよ。次はもうちょっと、友好的に話してくれよ」
?:そう言い、無造作に箱へと投げ込み、鍵をかける。
ヒジョーキン:ぽーい。
?:「さぁて…」
ポリッシュ:「今度はどんな活躍をしてくれるかな。楽しみだよ、セイバーアリス」
ポリッシュ:誰も居ない部屋に声だけが響いた。
GM:やっぱりやべぇマスコットじゃないか!
ポリッシュ:てへっ。
【余韻フェイズ/エンディング③:ジャスティス・パープル】
柴田:「はぁぁぁぁぁぁ」
柴田:大きくため息をついて、椅子の背もたれを大きく軋ませる。
柴田:机の上には、召喚状の山。
柴田:「参ったねぇ、こりゃ……」
あの頃は良かった。
常々、そう思う。
倒すべき敵が居て、背を預けるに足る仲間が居て、金にも苦労していなくて、
正義のために物を壊しても、仕方ないと認められる世界。
それが、今じゃどうだ?
ガードレールを武器代わりにぶん回し、
車を砲弾代わりに投げ飛ばし、
家を全焼させ、サラリーマンのお父さんを絶望させる……。
いや、ちょっとは悪いと思ってるぜ?
ともあれ、復帰したソロヒーロー・ジャスティスパープルの前途は多難だ。
柴田:「はぁ……。こんなときは、あれだな」
柴田:立ち上がり、公園に向かう。
GM:あなたは、知っていた。この時間に公園にいけば、一人で遊んでいる子どもがいることを。
柴田:名乗れないまでも、実子の成長を見守るのが、俺の少ない楽しみだ。
柴田:ぐるりと公園を見渡す。居た。
裕衣:「……」 かきかき。
柴田:「よう、何書いてんだ?」側に座って、絵を覗き込もう
裕衣:「あっ、おじさん!」 今回は、絵を隠そうとはしない。
GM:裕衣が砂場に描いていたのは、ジャスティス・パープルの似顔絵です。マスクしてるやつ。
柴田:「元気してたか?」
裕衣:「うん! おじさんは?」
柴田:「ああ、元気も元気だ」
柴田:「もう、公園で水を集めて持ち帰る必要が無いぐらいには、元気になったぜ」ニカッと笑う。
柴田:「……ジャスティス・パープル、か。上手いもんだな」
裕衣:「この前、助けてもらったの。おじさんの友達なんだよね?」
柴田:「……。そうだぜ? なかなか、たいしたもんだろ」
裕衣:「……」
裕衣:「んーん」 ちょっと考えて、首を横に振る。
柴田:「え゛、マジかよぉ!?」
裕衣:「ジャスティス・パープルが友達じゃなくても、おじさんはたいしたもんだって、わたし知ってるよ」
柴田:「…………」しばし、唖然として
裕衣:ニカッと笑う。
柴田:「こんの、生意気だぞ」ぐしぐし、と裕衣の頭を撫でる。
裕衣:「きゃー」 嬉しそうに悲鳴を上げる。
自然な笑顔になった。そう、無理なく笑えてる。
この子の笑顔が俺にとってはただ、眩しい。
柴田:「おっと、あれは友達か?」と、公園で遠巻きにこっちを見ている子どもたちを指差す。
裕衣:「えーっと…わかんない!」
裕衣:テンションのままに意味不明なことを口走る幼児特有の(
柴田:「なら、声をかけてみるといいぜ。そら、行って来い」と、背をとんっと軽く押そう
裕衣:「わっ、と…おじさんは?こないの?」
柴田:「……」ニッと笑い
柴田:「実はな、”仕事”があるんだぜ」 すごいだろう、と暗に!
裕衣:「!?」
裕衣:「そんな…いきてるうちに仕事してるおじさんが見られるなんて…」
柴田:「そこまでかよォ!?」
柴田:「ま、そんな訳だ。またな」
裕衣:「……」
裕衣:何だか、おじさんが遠くにいってしまいそうな気がして…
柴田:一気に死亡フラグくさくなった!
裕衣:「うん、またね」 それでも、挨拶を返す。
柴田:ビッと指を振って去っていく。
GM:いつか、「またな」なんて言わなくていい、家族になれるといいね……。
柴田:俺は決めた、この仕事が終わったら、もう一度……アイツに。元妻に会ってみようと思う。
故に
風のように
雲のように
駆けて
高らかに名乗り上げる
この名前 きっと 悪党どもに、忘れえぬものとなることだろう———。
パープル:「正義・執行!」
彼らがその後、どのような道を選んだのか、互いに知ることはないだろう。
しかし、この奇妙な世界の片隅で、投げかけられた問いかけに自分なりの答えを見つけて生きていることは間違いない。
脱するなんてとんでもない。どんなに奇妙であっても、彼らの心に明かりを灯してくれる、かけがえのない世界なのだから。
そして再び、その道が交わることがあれば……そのときは、共に戦い、共に死線を越えることだろう。
彼らは――デッドラインヒーローズ!