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僕は踏まれたい~踏まれるほどに強くなる~  作者: 怪ジーン
第1章 学院と女子寮での生活編
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10踏み リサイクル

 僕は改めて制服に着替えて、食堂に入って行くと手招きで呼んでいるエルがいた。エル達の席に行くと、僕の朝御飯を用意してくれており、席に座ると、エルが左隣に座り、フローラが右隣に座る。サラとセリカは、エルやフローラの向かい側に座った。


 なんだろう、ものすごい視線が刺さる。いや、ちょっと違う。僕の正面に空いている席に周りの視線が集まっている。


「あ、あの~」


 僕達とは、違うクラスの子が朝御飯の乗ったトレーを持ちながら近づいてくる。すると、僕の左側から何かを地面に叩きつける音が聞こえた。


「ヒッ……!」


 その女の子は、そそくさと別の席に座りに行く。エルを見ると、自分の大剣で床を叩いたみたいだ。

 別に席は空いているから、いいのに……




◇◇◇

 ご飯を食べ終わり、自分の鞄を持って寮の玄関へ向かうと、そこにはエル達が待っていた。


「タイヤー、教室に行きましょう」

「う、うん……」


 なんだろう? さっきから、エル達に見張られてるような感じる。

 校舎へ入っていき、自分達の教室の階に着くと僕は思いきって聞いてみた。


「ねぇ、エル? 朝御飯の頃から何か僕を見張っている様に見えるのだけど……」

「ええ。見張っているわ」


 エルは、あっさり認める。僕、何かしたかな? 昨日1日を振り返る。


 ああ……色々しているな……


「えーと、エル。いくら僕でも言ってくれればわかるから、何に気をつければいいか言って」

「? 違うわよ、タイヤー。あなたは、何をしても大丈夫よ」

「タイヤーくん……何をしてもは……流石に……駄目だから」


 エルの答えに素早くフローラが訂正する。相変わらず、エルは、大雑把だ。だけど、僕の行動を見張っている訳ではなさそう。


「フローラは、何かエルから聞いてる?」

「どうして、私を挟んでフローラに聞くのよ?」

「だって、エルじゃ要領掴めないし……」


 エルは、頬を膨らましプイッと僕から顔を反らした。フローラは、オロオロしながら僕とエルの顔を交互に見て困っていた。


「はぁ……わかったよ。エル、僕を見張る理由を教えてくれる?」


 僕の言葉を聞いて、エルはニヤリと笑い八重歯を見せると、背を伸ばし胸を張る。エルも、フローラ程ではないけど大きい……って、そんな話はどうでも良い。…………どうでも良くは、ないかな。


「タイヤー、良く聞きなさい! 一度しか言わないからね。あなたを見張る理由、それは、あなたが狙われてるからよ!!」

「ごめん、やっぱり要領得ない」


 ガクッと肩を落とし落ち込むエルを見て、本当にこの人、学園で学年1位取り続けた人かと、疑いたくなる。


「やっぱり、フローラ後で教えてくれる?」


 かなりゆっくり歩いたが、廊下の突き当たりにある僕達の教室の前に着き、一旦話を止めた。

 落ち込んでいるエルは、放っておくとして、扉を開けて教室へと入るとリックが僕に飛びついてきた。


「タイヤー、タイヤー、タイヤー、どうだ、どうだった、じょ、じょ、女子寮は?」

「お、落ち着けリック! ねぇ、誰かリックをどうにかしてぇ!!」

「嫌です」

「……いや」

「……ごめんなさい」

「タイヤー、諦めなさい」


 僕の横をセリカ、サラ、フローラ、エルが次々と通り抜けて行く。


「なぁ……タイヤー、いいだろぉ、教えろよぉ……」


 うわ! とうとう泣き出したよ。とうより僕が泣きたいよ!


「そ、そうだ! グレイス? グレイスは?」


 グレイスは席に座り、知らぬ存ぜぬを決め込んでいた。くそぉ! 友達じゃなかったのか!?


「ぐすっ……なあ……ひっく……教えて……ひっく…………くれよおお……いい匂いだったか?……ぐすっ…………もしかして、ちょっとしたハプニングとかあったんじゃ……ぐすぐしっ」

「うわあぁ! 僕の制服で鼻を噛むなぁ!!」


 リック……男の僕が見てもハンサムなのに、なんて残念なやつ。隠そうとしない欲望抑えたら、モテる筈なのに……

 ま、モテても嫌なので話さないけど。


 結局、リックはウッド先生に廊下に摘まみ出されるまで、このままだった。




◇◇◇

 リックがしつこい! 休み時間になる度に僕の席にやって来ては、やれテラスでお茶をしながらキャッキャッウフフってやってるのだろとか、寮中いい匂いで充満しているのだろとか、お風呂場で、女の子とバッタリ会っちゃったりするのだろと質問攻めだ。


 今朝の食堂の風景を教えたら、リック泣くだろうな。まぁ、最後のは惜しかったけど。フローラにも聞こえていたらしく、刺すような視線を送ってきた。

 絶対あの視線で、人を刺せる。


 昼休みになると、今度はリックとグレイスも加わり再び僕を見張るように取り囲みながら、食堂へと向かう。

 リックとグレイスが加わったことで、ようやく僕は、気付いた。


「もしかして、僕を守ってくれてるの?」


 隣にいたセリカに聞いてみると、理由を教えてくれた。


 どうも、昨日の食堂での一件が問題らしい。エルから、僕の話を聞いて他の女の子が、僕を狙っているとの事だった。

 ふふふ……まさかのモテ期到来か!?


「タイヤーくん、中にはキミを誘惑しそうな人もいます。クラスや学年が違えど、月別対抗戦などは、その限りではないですから。しかし、用が済めばお払い箱になるでしょう。私達も、キミを利用しようとしているのには違わないけれども、キミを捨てたりする事はありません──」


 はい、モテ期終わりました。僕の身体(スキル)目当てでしたーーー!!


「残念だけど、セリカの言う通りならこのクラスの為に頑張るよ。捨てたりしないって、言ってくれてるしね」

「──再利用します」


「なんだよ、再利用って!! そっちの方が酷くないか!?」



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