ついに異世界へ!
ソファーを退けるとそこには信じられないモノをがあった。
そこには、不思議な文字が円の中心に書かれた、青白く光る魔法陣があった。
俺がすぐさま、魔法陣だと判別できたのは、今、目の前にある魔法陣がよくアニメとかでみる魔法陣に似ていたからだ。
「先輩これどうしたんです⁉︎」
俺の声が静かな部屋に響く。こんなに大声で驚いたのは久しぶりだった。
「これは魔法陣だよ。まぁ見ればわかると思うけど。この魔法陣が異世界と繋がってるの」
「本当ですか?」
「わざわざ、君をからかうためにこんなことしないよ」
「先輩ならしそうなんですよ」
短い付き合いだが、この人のやりそうなことをなんとなくわかってきたので、ドッキリじゃないと言われても信じられない。
「まぁこんなリアルな魔法陣を書いたとは思えませんし信じますが」
「悠希君って私のこともうちょっと信用してもいいんだよ?」
「遠慮しときます」
「ひどいなぁ」
うさぎの着ぐるみを着たまま地団駄を踏む沙羅先輩。しかし、ポフポフという音なので可愛らしい。カップ麺を待っている時間、3分ほど見ていたくなる可愛らしさだった。
「そんなことより、早く異世界に行ってみたいです」
しかし、異世界への好奇心が沙羅先輩の可愛さに勝ってしまう。本人に言うと、多分、またいじけるだろう。
「あれ? 案外、異世界に好奇心旺盛?」
「はい、さっきは人並みとは言いましたが、本当はめちゃくちゃ興味があります」
「へぇー、どういうところに興味ある?」
「やっぱり世界最強です」
異世界に行って、とんでもな力で無双する。これ一択だろ。ラノベとかも、主人公が強くて、女の子に囲まれてるのが多しな。
「世界最強かぁ、良かったね、もしかしたらその願い叶うかもよ」
「え⁉︎」
今この人、なんか凄いこと言わなかった?
「それじゃ、異世界に行こう!」
そう言って、魔法陣に向かって、歩き出す先輩。俺の質問は華麗にスルーされたようだ。
「沙羅先輩、後で詳しく教えてくださいよ」
「うんわかってるよ、あっちに言ってからの方が説明が楽なの」
「そういうことですか、なら従いますね」
先輩が人一人分くらいの魔法陣の上に立って、なにやら難しい単語。呪文のようなモノを唱え始める。もしかしたらあれを唱えないと異世界に行けないのか? うーん、覚えられるかな?
「先輩、その難しい呪文を言わないと異世界って行けないんですか?」
「行けるよ」
この人は……。
「それじゃ、後からついてきてね」
「はい」
「転移」
先輩がそう言うと、魔法陣の発する光の量が急激に増加する。その光が最高になった瞬間、目の前から沙羅先輩が消えた。
「こうやって、異世界に行くのか。というか簡単だな」
転移。の一単語で異世界に行けるとは…。楽でいいがちょっと夢がないな。
「まぁ早く行かないと先輩怒るし、早く行こう」
俺はドキドキとワクワクがおさまらなでいた。
どんな世界が広がっているのだろう。
俺でも魔法が使えるのだろうか。
この世界とは違う世界が待っていますように。
「転移」
俺の異世界冒険の始まりだ!