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2話『並木』
2話『並木』
並木さんというおじいさんがいた。僕が18歳の時に同じ店で働いていて当時で70歳だったので今は生きていたら92歳だ。生きているのかは知らない。
当時、ショートホープ片手に姿勢よく麻雀を打つ彼の姿に憧れていた。
コーヒーはブラック派で渋くて強くてカッコいい。
それでいて、僕の麻雀から学ぼうとする姿勢もあり「麻雀は一生涯研究だ」と言っていた。そんな彼はよく箱を積み重ねてた。
箱というのは預かり金でそれをレジで換金したら5000円になる。
箱による精算をしたら次回のゲームには進めずに終了しなければならないため自分のものではない箱を持っているということはパンクした人がいたことを意味する。
僕は命名した『重箱の並木』と。
彼の姿はもう20年くらい見てない。生きているかもあやしい。しかし、僕の中ではずっとヒーローだし。憧れている。
ショートホープを見ると今でも彼の凛とした佇まいが思い出されます。
並木さん。尊敬していました。