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29.王子17歳・冬。諦めない男。
「もう少しで春がくる。そうすれば、僕は十八歳だ」
「そうですね……」
「結婚できる年齢だ」
「そうですね……」
「結婚しよう、アリサ!」
諦めない男、オースティン様……!!
そんなあなたが好きですけれども……!!
あなたが十八になるということは、私は二十八になるということなのです。
こんな婚期を過ぎた女しか娶れない王子だと諸外国に思われては、オースティン様のためにはならないのです……!
「アリサ……どうしたら僕と結婚してくれる?」
どうしたらと言われてましても……そうだ、結婚できないような条件を出せばいいんですね!
「では、クレイグ様と剣の勝負で勝つことができれば、私はオースティン様と結婚することにいたします」
「クレイグとの勝負に?」
複雑な顔をしていらっしゃいます。
クレイグ様は騎士団内でもトップクラスと聞きますので、きっと諦め──
「わかった! クレイグを負かしたら、絶対に僕と結婚してもらうよ!」
諦めない男、オースティン様──!!