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22.王子16歳・春。夜会。
「今度の夜会に、僕のパートナーとして出席してほしい」
はい? なにをおっしゃっているんですか、オースティン様……
と言う間もなく連れてこられてしまいました!
十六歳の男子が、こんなとうが立った二十六歳女を連れてくるなんて、普通あり得ませんからね?!
周りの視線が痛いです。早く帰りたいです……!
そして一曲踊るだけで動悸がすごいんですが。運動不足!!
「あっ、足が!」
慣れないピンヒールで、足がグキッといきました! いえ逝きました!!
「アリサ!」
「だだ、大丈夫です!」
涙出るほど痛いですけど!!
「もう、帰るよ」
「えっ」
主役なのに、それはだめなのでは……?
とか思っている間に帰ってきちゃいました。
しかもお姫様抱っこで!!
「も、申し訳ありませんでした、王子……」
「かまわないよ」
ふっと笑うオースティン様。こんな顔ができるようになっただったなんて。
オースティン様の手が頭に触れ、私の髪は優しく梳かれた。




