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17.笑顔のあと
「僕が止めなかったら、クレイグと付き合ってた?」
「……どうでしょうか。わかりませんけれど、そうかもしれません。私もいい年ですし」
私は現在二十三歳。
この国の女性のほとんどは十代で、遅くとも二十五歳までに結婚することを鑑みると、私はすでに行き遅れに片足を突っ込んでいる状態ですから。
結婚しろと養父に急かされているわけでもないので、のんびりはしているけれど、結婚に興味がないわけではないのです。
「アリサ」
「はい」
「……待てる?」
「なにをでしょう?」
「僕が、大人になるまで」
私が結婚すれば、側仕えは難しくなるのを危惧していらっしゃるのか……
いきなり違う人に代わられるのは嫌なのですね。
「わかりました。オースティン様が大人になられるまで、私はお待ちします」
私がそう言うと、オースティン様はにっこり笑ったあと、私が指輪を勝手に外したことを怒っていました。
指輪をつけようとしましたが、外している間に太ってしまっていて、中指ではなく薬指につけることになりました。




