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16.王子13歳・夏。笑顔。
「よろしければ、結婚を前提としたお付き合いをしていただけないでしょうか」
「クレイグ様……!」
まさかのお付き合いのお申し込み!
私は伯爵家の養女だけど養父にはたくさんの優秀な養子がいるので、私の結婚は好きにすればいいと言ってもらえてます。
クレイグ様は男爵家の次男だそうなので、双方に損はないんですけど……
「だめだ!!」
「王子!?」
「アリサは、僕のだ!」
王子が私の腕をとって握っています。
最近、ほとんど口を聞いてくれなかったのに……
止めてくれることを嬉しいと感じるのは、クレイグ様に気持ちはないということなのでしょう。
私がクレイグ様にお断りを申し上げると、オースティン様は昔のようににっこりと笑ってくださった。