177話/解放Ⅰ
元「開いた…のか…?」
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ーーー「ん?」
??「開いたみたいだな」
リン「出れると?」
??「あぁ…だが…何か罠を仕掛けている可能性が…」
ーーー「無いだろ。仕掛けてるなら、殺してるよ。さっさとな」
??「確かに」
リン「なら出るのか…?」
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元「ん?えっ…と…」
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そりゃ困惑するわな
死んだと思った人間の顔が
そこに居るんだから
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??「………」
(あー、うん。なんと言うのか…。なんとも言えねぇな…。なにか話せば地雷踏み抜きそうだからなぁ…)
元「えっと…あー。うん。分かってる…のか?」
??「あ、あぁ…一応。記憶の引き継ぎだけ…な…。」
元「本体…と?」
??「そうだな。そういう事だ」
元「なら、一つ聞きたいが」
??「Fakerを作った理由?だろ」
元「よく分かるな」
??「ある程度は、お前の顔とか、引き継ぎの記憶でどうにかなるものだ」
元「では、何故作った?」
??「何故…か…。う〜ん。確かに、あれは人造人間と言っていいほどだ。でもな、間違えるなよ。前世界よりはマシだ」
元「……っ…何故だ?」
??「理由も無く、生命体を殺す、そんな世界と理由ありで死をつける世界。まぁ、どっちも狂ってるんだけどな。でも、俺たちは、理由無しで作った訳ではない」
元「なら…何の理由だ」
??「単純に、お前を導く。それだけだ。」
元「そんな理由で…!」
??「そうだ。お前にとっては『そんな理由』だ。でもこちらはそれなりの理由だ。お前は自身について知らなさ過ぎる。それではいつか、身を滅ぼすぞ」
元「どういう意味だ」
??「知らなさ過ぎる。つまり自分の加減すらも知らないんだ。お前の肉体はボロボロだ。崩れ落ちてもおかしくない。でも、そんな事は知りもしなかっただろ?」
元「……っ…」
ーーー「あー、タイミングを探ってたが…まぁ落ち着け。話はその後だ。まだやる事の有るうちは、な?」
??「はいはい…引いておきますよ」
元「はァ…」
リン「まさかの第一声だ溜息とは。これ以下に」
元「疲れていたんだ…すまねぇな…」
リン「何か、自己肯定力下がったんじゃない?元」
元「そうか?気にする事でもないよ」