151話/神怒Ⅴ
元「強制と…」
テオス「その通り。だから滅ぼすんだ」
元「この世界の悪にでもなると」
テオス「そうだな。アイツらは死滅させるべきだ。まぁ…お前も、魔術を得た時点で科学と完全に切り離されているんだがな」
元「何なんだ、この世界は…」
テオス「科学世界と魔術世界の違いを教えてやろう。科学世界は、『発展に神は必要なくなったから、自ら退去した世界』。一方、魔術世界は『発展に神は邪魔となったので、強制的に消滅させられた世界』だ」
元「なっ…」
テオス「まぁ、この世界には神が存在しないのは、絶滅させられたのもある。それが理由だな」
元「絶滅させられた『のも』ある?他にもあるのか」
テオス「勿論だとも。でもそれはあまり、好き好んでする話じゃないからね。教えはしない」
元「とりあえず、神怒は、無理矢理消されたことか?」
テオス「いや、無理矢理消されるは良い。それは構わない。我々の願いは、続く者がいる事だ」
元「なら何故…」
テオス「行っただろ?俺たちが消えたあとも、人間は俺達の概念の残留を使って生きている。これが最悪なんだな。神は消えたが、概念は残ったまま。そして、消した理由もくだらない。だから滅ぼしに来たんだよ。鬱陶しいこの世界を、」
元「何故概念は消えなかったんだ?」
テオス「神が作ったと認識していなかったからさ。誰も…ね、」
元「だから、元からあるものと思われたから、残ったと…」
テオス「そういう事だな。まぁ分かっただろ?この世界は、気持ち悪いんだ。それは分かるだろう?君だって、見たはずさ。あの地獄の夢を、アレはこの世界そのものだ。君はまだ、たどり着いていない、だから間に合うんだよ。今のうちに輪廻から外れたら、何度も死ななくていいってね」
元「断る」
テオス「何故かな?」
元「やるべき事があるから」
テオス「そうかそうか、全く…同類か。いや、まぁ簡単に、抜けたら困るけどね。じゃあ良いさ、君も知ればいい。我々のやっていたことが正しかったと、理解すればいい。じゃあこの夢は終わり。結局誰一人として乗らなかったな。話に、」
元「所詮はその程度なんだよ」
テオス「そうだな、所詮、お前たちの考え方はその程度なんだよ。今生きればいい、何て今後も考えない、馬鹿は」