転生した。
………
暗かった視界が開ける。
と言うか、開け過ぎである。妙に視界が広い。
ここは…森、か?
取り敢えず探索をしよう。
そう思い、足を動かす。
わさっ
わさ?
ちょっと待てよく考えろ。
普通人間は動くと『わさっ』とは音がならない。
あ、ちょうどそこに水たまりが。
俺は水面に写った自分を見る。
え、草? いやいやいや、それはないでしょ。
もうちょっと近くで見ようとする。
ふぬぬぬぬ……!
動けない。
俺は草じゃない……!
俺は草じゃない……!
俺は草じゃない……!
そんなことを自己暗示してからもう一度水面を見る。
やはり草が写った。
右手らしき部分を上げてみる。
草の右側がシャキッと立つ。
今度は背伸びをする。
全体的に伸びた。
普通に立つと、もとに戻る。
ジャンプは――できない。原因はおそらく根っこだ。
道理で移動できないわけだ。
現実を受け止めろ俺。
俺は今日から草だ。
I am Zassou.
残念ながら俺は英語が全く出来ない為、雑草という英単語は持ち合わせていない。
一応ステータスを見る。
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名前:なし
種族:植物(雑草)
種族名:ピルラ草
魔力:−−
生命力:999999
種族能力:【蔓束縛】
固有能力:【思考】【成長】【無制限進化】【万物鑑定】【収納箱
加護:創造神の加護
称号:転生者
類稀なる植物
創造神のお気に入り
頂点になり得る者
現実を直視した者
新種の雑草
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おい!? 雑草だと!?
俺は雑草だって?
それはともかく生命力999999て草。草だけに。
……すみませんでした。
あれ、魔力が『−−』になってるな。
まだ使ってないからか?
種族能力の【蔓束縛】は色々応用ができそうだ。
固有能力の【思考】のおかげでこの人格があるということかな?
【成長】と【無制限進化】は……『俺TUEEE』をするための道かな。
【万物鑑定】がある。取り敢えず片っ端から分からない事を鑑定していこう。
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ピルラ草
創造神が創った雑草。創られたばかりか、まだ一株しか無い。
【思考】
本来、思考ができない物に贈られる能力。
だが、贈られたのは今回が初めてである。
【成長】
本来、【成長】できない物に贈られる能力。
だが、贈られたのは今回が初めてである。
【無制限進化】
本来、進化できない物に贈られる能力。
だが、贈られたのは今回が初めてである。
無制限に進化ができる。
【万物鑑定】
その名の通り万物を鑑定する能力。
創造神の加護
この称号は『死ににくくなる』という効果がある。
転生者
この称号は獲得経験値が5倍になる効果がある。
類稀なる植物
この称号は獲得経験値が2倍になる効果がある。
創造神のお気に入り
魔力が5倍になり、魔法が全属性使えるようになる。
頂点になり得る者
この称号には効果がありません。
現実を直視した者
この称号には効果がありません。
実を言うと、この称号は創造神がふざけて作った。
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ピルラ草が一株しか無い…ってことは俺だけか。
わざわざ新種を創ってくれたのか……わざわざ雑草の新種を。
まあ、人外なのは予想できたが……植物って…無いわー。
って思ったた時期もありました。
見事にフラグ回収しました乙です。
この体(?)すごくいい。超便利。
索敵魔法を常時発動。
敵を発見。
【蔓束縛】発動。
首をきゅっとやってからしばらくすると、あ。
――経験値76を獲得。
――称号【転生者】、【類稀なる植物】により、獲得経験値が合計7倍。
――結果、経験値532獲得。
――Lv.5からLV.9にレベルアップしました。
――進化可能レベルまで、あと968の経験値が必要です。
経験値ごっそり。
毎度ご丁寧にどうも。
さて、そろそろ暗くなってきたな。
ちょっと休みがてら転生する時の事を振り返ってみるとするかな。