戦士の片鱗
翌日。俺は戦線の兵舎にて朝食を取っていた。献立は、パン二つにチキン、サラダとスープという比較的質素なものだった。新米なので悪目立ちはしたくないという思いで端に座っていたのだが、体格の良い壮年、猪川さんが隣に座る。すると、
「お前は何をしたんだ?」
と、気軽に話しかけてくる。どう見てもお偉いさんだ。歴戦のおっさん感が滲み出ている。
「特に何も…」
真実を答えると、酷く驚いたような表情を浮かべる。当然のことだろう。何故なら、ここは大罪を犯した者が派遣される激戦地だからだ。不審がられるのも困るので皇帝からの依頼だという旨を伝えると理解してくれたようだ。まぁ当然嘘なのだが。
しばらく経つと、昨日と同じく戦闘に向かう人が増えた。どうやら幾ら魔物を狩っても湧いて出てくるらしい。恐らく無限に精製する機関が存在するのだろう。でなければ一日でこの量が出現するなど考えられない。魔物もれっきとした生物なのだ。瞬時に孕むことはないだろ、という短絡的な思考に基づく結論なので信頼できる情報ではないが。おっとそろそろ出発しないと。このままでは怒られるので急いで武具の準備をして戦場に向かう。道中、高度な社会制度を構築している種族、散族を遠くに見かけた。ちなみに名前の由来は、大昔は一纏まりの文明だったが神の雷によって種族がバラバラに散らされたことから来ている。…拠点に魔物が向かっている。すぐさま拠点に走り、近くにいた魔物を剣と魔法によって吹き飛ばし、蹴散らした。次々と魔物は襲い掛かってくるが、それをもろともせずに的確な位置に斬撃を与える。周囲にいたものを全て対処してゆき、遠くを見据える。戦場は山に囲まれており、その中で最も高い山の麓に人が立っているのが分かった。ずっと見つめていると、俺の元へ飛んできていた。そして、
「あなたは無罪です。蜜蟹亜砕という者に唆された皇帝とその元凶を討ちなさい。」
と告げて帰る。正直言ってそのつもりだったのでその情報はあまり必要はなかったが、彼らを言及する材料にはなるだろうからメモを取っておく。数秒後には戦闘に戻る。傷ついた仲間を見つけ、回復魔法を無詠唱で繰り出し、跳躍して魔物の頭部を斬りつける。俺は自由度の高い両刃の片手剣と盾、そして程良い軽さの鎧を装備している。そのため、比較的跳躍などの行動を自由に行えるのだ。これは大きな利点であり、これによって攻撃を避けながら戦うことを可能としている。故に俺は周囲を飛び回り、様々な部位を切り刻むように戦っている。だがこれでは疲れてくるので回復魔法を定期的に唱え、素早く今日のノルマを達成する。あまり時間も取られず、速やかに帰還出来た。
はじめまして、noizeです。
数年間練っていた設定をここで使うことになるなんて思ってませんでした。
まぁ、何卒よろしくお願いいたします。