第3話 幼馴染の勇者が召喚者 -2-
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なるほど。ということは・・・。
「ラスが使っていたあの召喚魔法には、他に条件があったのでしょう?」
召喚した際には、王宮の魔術師が10名と筆頭魔術師のラスが協力して召喚したようなことを言っていたが今の私には解かる。その程度のMPで召喚魔法を唱えられないことを。
「ああ、寿命を10年分使うんだと。ラスは、お前を送ったことでよぼよぼの爺になっちまった。ラスの残り寿命では、もう召喚魔法は使えないとさ。」
それで勇哉は、反転魔法陣のせいで若返ったというわけか。
ピンポーン。
そこで例のチャイムが鳴り、奥のほうから人がやってきた。
「渚佑子・・・ということは、隣に居るのは勇哉か・・・。やはり。」
「貴方もしかして、ゴディバチョフ皇子?」
目の前には、出会った頃とさほど変わらない様子のゴディバチョフ皇子が立っていたのだ。元々、私よりも8歳ほど年上だったから、勇哉と同じ方法で来たとすれば16歳くらいか。
イケメン皇子だったが大人っぽかった彼は、幼いころからこんな風だったのね。
「ああ、父が引退したので皇帝になったがな。」
「きっっっっさまぁ。貴様がここに居るということは・・・。」
勇哉は、絶望の眼差しでゴディバチョフを見つめる。
「勇哉がいなくなったロシアーニアは、あっさりと併合されたよ。王家の皆様は、転封のためアラーシアに向かって頂いているから安心してくれていいよ。」
「お久しぶりでございます。皇帝。」
「渚佑子。もうゴディバとは、呼んでくれないのだね。」
ゴディバチョフは、少し悲しそうな視線を寄越す。
「貴様。なぜだ。帝国さえ攻めてこなければ、こんなことには・・・。」
「君が悪いのだよ。君が渚佑子のことを捨てさえしなければ!」
「まさか。貴様。」
「そうだよ。世界を救ってくれた君のモノだと、思ったからこそ我慢できたんだ!!それを!!たかが年齢が15歳だったからという理由で!!」
ゴディバチョフは、血を吐くような口調で苦しそうに言った。
そうなのだ。元々ロリコンの気があったのは知っていたがまさか14歳以下じゃないと萎えてしまうほど筋金入りだったとは思わなかったのだ。
魔王を討伐したその日に誕生日を迎え15歳になっていた私は、思い切って告白して振られたというわけだ。
「すまん。渚佑子。」
「大丈夫よ。ゴディバ。あれは、気の迷いだったの。もう好きじゃないわ。」
「ならば、俺の「待って!言わないで。」」
話の流れからゴディバチョフから好意を持たれていることは、なんとなく解かったのでその言葉を遮る。言われたら未練が残る。だけどもう異世界には行きたくないのだ。それにようやく目覚めた真実の愛を腐らせるわけにはいかない。
「ごめんなさい。こちらの世界にもう好きな人が居るの。」
「もう、その人のモノに?」
「まだ片思いだけど、私のモノにして見せるわ!」
「君は、変わったね。強くなったようだ。だが諦めない。ようやく君の傍にたどり着いたんだ。」
「まさか貴様。その女のために全てを捨てるというのか?」
勇哉も異世界に戻っても無意味と悟ったのか。渚佑子から女に変わった。
「それがどうした。くだらない。」
気持ちは、解かるがそれ以上言ってほしくない。
「ダメよ。言葉は、どうするのよ。異世界の言葉は、こちらで通用しないのよ。どうやって生きていくつもり?」
「大丈夫だ。そんなこともあろうかと、国宝の指輪を持ってきた。それに渚佑子が異世界の言葉を喋れなくなっているかも知れなかったからな。それに金貨もこの通り持ってきた。これだけあれば、当分は生活に困らないだろう。」
異世界でゴディバに金貨のことを話したことがあった。当時は金貨の価値などよく解かっていなかったから100枚くらいあれば凄い金持ちだよねって・・・。
まさか日本での価値が父親の2年分の年収程度だとは、思わなかったのだ。しかも、普通の手段では、換金できないなんて・・・。
・・・・・・・
結局、勇哉はそのまま飛び出していったが放っておいた。
実は勇哉の家は、ある有名な企業家だったのだが家業そっちのけで勇哉の捜索を行っていたため、ライバル会社の画策で倒産に追い込まれたうえ、吸収合併されており家族も散り散りになっていた。
そのうち、警察から連絡があった。どうやら、金貨を大量に買取ショップに持ち込んだらしい。こちらの世界に存在しない金貨を8歳の子供が持ち込んだのだ。捕まらないほうがおかしい。
身元引き受け人が居なかった勇哉は、私の名前を出したらしい。もちろん、私は引き取らなかった。それとなく連絡してきた警察官に聞いたところ、金貨は犯罪の恐れがあるという理由で没収され勇哉は、施設送りになったらしい。
ゴディバチョフは、いまだにウィークリーマンションに居座っている。金貨は社長が買い取り済みだ。
金貨の形だと面倒らしく、錬金術でプラチナに変換する材料である金の中に混じっている。意外と帝国金貨は混ぜ物が多く社長に損をさせてないか心配するほどだ。結局また面倒を掛けてしまって申し訳ないかぎりだ。
さらに社長にアメリカ国籍まで取得してもらった。残ったお金でいまこちらの世界で働くために猛勉強中だ。
《第3話完》
社長のライバル現る(笑)
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