第2話 魔王と鬼畜な召喚者達 -2-
お読み頂きましてありがとうございます。
アクセス数が増えているみたいなので放出します。
さてそれには、どうするか。できれば、もうMPは使いたくはない。読心魔法陣の投入量ならば、社長にもらったコモンのMPポーションで回復できるが、巻き戻しとなるとほとんどのMPを投入することになる。
そんなことをすれば、錬金術を使うためのMPが使えなくなる。希少金属である金からそれよりも埋蔵量は多いプラチナへの変換を行うことでお金を稼ぎ出しているのだ。
ちなみにこのMPポーションは、社長の知り合いの製薬会社に開発させているらしく。これを薄めたものが近くドリンク剤として発売されるらしい。
錬金術を行える回数が減ることで、来月の小遣いは大幅に減ってしまう。こんなやつらのために使うなんて、まっぴらだわ。
「それには、準備が必要なんだ!」
相手も必死だが、こちらの小遣いも掛かっているのだ。おいそれと引けない。
「準備ですが?必要なものなら多少は融通することは、できます。金品は、お持ちですか?」
稼げるときに稼いでおかなくてはね。なんて、守銭奴みたいなことを考えていると、男もいろいろ考え出す。
(MPは、俺の分がコモンのMPポーションで回復できれば、送還魔法くらいなんとかなる。しかし、生贄が難しいな。そうだ、帰ってしまえば、死んでしまおうと関係ないだろう。とにかく、人間を集めてさえしてもらえれば、なんとかなるはずだ。)
「コ、コモンのMPポーションはあるか?」
「MPってなにですか?」
この世界には、魔法がないのだ。MPという概念もない。少なくとも一般人には・・・。こんなときにゲームの世界の情報を知っているというバカもいないだろう。
(MPがわからないのか?ということはこの国には魔法が無い。ということは最悪、魔法で脱出すればいいかもしれない。だが、俺達の世界で魔法が無い国なんて、あったか?いや、無いな。ということは、ここは、異世界なんだ。力ずくで出て行く手段は、最後の手段だ。)
「なんか、前に来た人が置いていったビンならありますけど・・・。」
私は、そう言って、コモンのMPポーションを取り出した。
男は、臭いを嗅いだり、隣の男に臭わせたりしている。
(これは、本物か?わからんな。とにかく、縋るしかない。交渉といこう。)
「これが、そうかわからないんだ。先に飲ませてもらってもいいか?」
交渉するつもりもないのか。これがこの男流の交渉なのか。
「ダメです。」
「おまえたち、金貨いくらある?」
男はそう言って、お金を集めだした。
(まずいぞ。手持ちでは、金貨20枚しかない。いくらなんでもこれでは、100名も人間を集められまい。だが、俺の分だけなら、10名分で済むはずだ。それなら、なんとかなるはずだろう。)
どうやら、この男、仲間達から資金を集めておいて、自分だけ帰るつもりらしい。
「すまんが、これだけで、そのビンと10名の人間を集めてくれないか?」
男がだしてきたのは、金貨11枚。1人につき金貨1枚なら集めるのは無理じゃないだろうと考えたようだ。しかし、ケチだ。残り9枚は着服して仲間を残して帰るつもりらしい。
さて、そうは、行くかな。
「これは、大事なものなんでしょう。金貨10枚は、必要です。」
私は、吹っ掛ける。
(ふさけんな。コモンのMPポーションなら銀貨1枚でも十分だろうに、しかし、これを売ってもらえないとなると計画はおじゃんだ。しかたがない。)
「そこをなんとか。じゃあ金貨5枚で!」
「金貨8枚。」
「金貨7枚。」
「わかりました。金貨7枚で譲りましょう。はいどうぞ。」
私は、金貨と交換でポーションのビンを手渡す。
男は、すぐにビンを開け中身を飲み干す。
(よし。本物だ。あとは、人間を用意してもらえば・・・。)
「だが他の人間は、ダメです。他の人間に見られたら、この場を穏便に過ごすことなどできない。」
(なに!そんな大事なことを後で言いやがってこのアマ!)
「何を怒っている?人間なら後ろに居るではないか?」
私は、男の後ろを指し示す。ひの、ふの・・・ちょうど10人居る。どっちが鬼畜なんだか、我ながら・・・。
男は、振り返ると即座に何かを呟く。どうやら、なにか拘束する魔法を使ったらしい。
「だ、団長!」
ピンポーン。
その時だった。また、例のチャイムが鳴り響いたのだ。どうやら、他のお客さまらしい。
《つづく》
さて、次のお客さまは・・・。わかりますよね(笑)