第12話 魅惑のバーゲンセール -2-
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「続きましてDさん、一見おしとやかそうな彼女ですが、第一線級のストーカー気質。人族の勇者の邪魔をするのには、うってつけな人材。情報に精通できる能力があれば、より一層、役に立つ人材となるでしょう。」
魔族は必死に首を振るが、Dさんが気に入ったらしい。魔族の腕を掴んではなさい。
「邪険に扱えば、扱うほどストーカー度がレベルアップしますので、諦められたほうが良いと思います。」
魔族はがっくりと、肩を落とす。
「お買い上げありがとうございます。」
Dさんはそれでも離れない。余程、気に入ったと見える。すっぽんのような食いつきだ。私は密かに胸をなで下ろす。実は私もストーカー被害者のひとりだったからだ。
私はいつの間にか管理人室の鍵をコピーされて深夜に侵入されたことがあるのだ。あの身体中を這い回る手管のせいで、もう少しで美味しく頂かられてしまうところだったのだ。
今思い出しても、怖気振るう。まさしく、私に取っての悪魔。魔そのものといった人物なのだ。
この魔族の青年をどんな手管を使って落とすかは、わからないが、蛇に睨まれたカエル状態だ。
一応、言っておくけど、私はまだ清らかさんだからね!
そんなことを思っているとだんだん気分が落ち込んでくる。何で社長は・・・・・・・。
私はDさんから視線を反らして次の人を紹介する。
「Eさんは、その甘いマスクに騙された女性は数知れず、だけど本人は至って真面目な女性です。先月もTVコマーシャルで有名なショップニャパンの社長夫人と刃傷沙汰を起こしたばかり、人を不幸にさせる。何処かの家庭に波風を立てたいのなら、おすすめです。」
本当なら社長のところに送り込んで・・・・、イヤイヤダメだ。これ以上の波風は・・・・あの社長のことだから、何処か手の届かないところに行ってしまうかもしれない。
確かにあの甘いマスクを見ていると周囲が見えなくなるみたいだ。何故か、私には効かないけどね。どちらかといえば、自分の中のSが、堪らなくイジメたくなるんだよね。
「買った!」
ここで初めて魔族から声が掛かる。もしかして、この魔族、女性だったのか?目がトロンとしている。よし!これでさらに押し付けられる。
「Fさんは人の家を覗くのが大好き。その存在感の無さにどの家もスルリと入り放題、情報収集にはうってつけです。」
Fさんが現れたはずなので紹介するが何故か認識出来ない。足音がするだいたいのところを指す。
「お買い上げいただいたのでFさんはプレゼント!」
そろそろ限界かな。魔族の召喚者が乗っている魔法陣からするともう2・3人は行けそうだ。
その後数人のオマケをつけて、巻き戻し用のMPを投入した。荷物の処分費として相応の代金を頂いているから、十分にペイ出来そうだ。
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魔族の召喚者は一躍時の魔族となる。
魔族の召喚でこれだけの人数を召喚できた試しがないからだ。
さらにその世界の人族を混乱に落とすことに成功すると魔族のなかでも、高位の魔族として魔王に迎え入れられるが、数年後、魔王城の幹部たちを混乱に落とした罪で処刑されたという。
《第12話完》
そして数十年後あらゆる魔族の権力者を恐怖のどん底に陥れたDさんは別の召喚魔術師を脅して、渚佑子の前に現れるのだった・・・・・・・。




