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第9話 召喚装置と結界魔法陣 -6-

お読み頂きましてありがとうございます。

 さらに社長の説明は、続く・・・。


「えっ、うっそー・・・。」


 社長は、予め対処法を書いたマニュアルをくれたというのだ。


 私は、必死に記憶を掘り起こし、それが『箱』に入っていたことを思い出し、取り出してみてみる。


 ふむふむ、事例集か・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・・・本当だ。


「か・・書いてあったぁ。」


 そうだわ。


 途中から余りにもありえない想定集だと思って読み飛ばしてしまったんだった。


「お姉さまだけが悪いわけじゃないの。私も知っていたの!ねえ、だから、怒らないで!」


 そういえば、ナリス1人が社長の説明に驚いていなかった。


 連日の戦いの間にも、夜に敵が来ないことがあって、他の皆は管理人室で待機していけど、彼女は部屋のベッドで寝かせたのだったわ。


 きっと、そのときに社長に説明をして、社長が対処方法を教えたのね。


 だけど、何故?


「お前、なんで言わなかったんだ?」


 意外にもゴディバが優しい口調でナリスに質問している。


 どうも、さっきこんな小さい子供に暴力を振るおうとしたことを反省しているらしい。


「だって、お姉さま。とってもカッコ良かったんだもん。それにおじちゃんたちの訓練を邪魔しちゃ悪いかなって。」


 そういえば、戦いの作戦もナリスには、指示するだけで詳しい説明はしなかったんだったわ。


 何をしているんだろう。


 ナリスを守るつもりだったけど、それではいけないんだ。


 私は、何度同じ過ちを繰り返せば済むんだ。


 ナリスを作戦会議に入れて、意見を聞いてさえいればナリスも答えてくれたはず・・・。



・・・・・・・


 そのとき、モンスターの方向から激しい鳴き声が聞こえてきた。


 皆が一斉に振り返るとちょうど寿司詰めになったオークたちの1頭が潰れて、消えてしまうところだった。


「社長!あの天井が穴が開いているのですけど、外に音は漏れない?」


 それも大丈夫らしい。


 遮音の魔法陣も張り巡らされているらしい。


 しかも、天井の穴は応急処置だが塞いだという。


 いつのまに・・・。


 私は、穴のあった天井を見つめるが、そこにあるのは、寿司詰めのモンスターたちばかりだった。


 そのとき、社長がお疲れさまの言葉とともに、頭を撫でてくれる。


 ちぇっ。


 いつまでも子ども扱いだな。


 身長150センチ余りの私は、社長にとって子供同然なんだろうけど・・・。


 私は、そのまま社長に抱きつく。


 そして、声を上げて泣き出してしまう。


 これじゃ、子供あつかいされるはずだわと頭の片隅では、解かっていたのだが全く止まらない。


 気を利かせてくれたのか。


 他の仲間たちは、部屋から出て行ってくれた。


 ゴディバだけは、師範代たちに引き摺られているようだったが・・・。


 もう、ダメだと思ったのだ。


 死んでも、此処だけは守るつもりだった。


 この場所は、私の心のよりどころなのだ。


 本当に本当に大切な愛の巣。



・・・・・・・



 ここが壊れてしまえば、私の存在価値は無いのだ。


 私が泣き止み、思わず社長に吐露してしまう。


 社長は首を振って、そのまま抱きしめてくれる。


 チャンスだ。


 今だ。


 今が押し倒すチャンスなのに・・・。


 よっぽど疲れていたのか、そのまま睡魔に負けてしまった。


 あれだけ、モンスターを倒したというのになんていうことだ。



・・・・・・・



 気が付くと管理人室のベッドに寝かされていた。


 傍には、ナリスも居る。


 時計を見るとあれから15時間以上寝てしまったらしい。


 社長にモデルルームの様子を聞くと昼間なのにもう10時間以上、モンスターはやってこないらしい。


 さらに驚いたことに反転魔法陣のデータを解析して、モンスターがやってきた世界を突き止め、召喚装置を破壊してきたという。


 やはり、生贄を必要としたモノらしく、その場所の周囲には、沢山のモンスターの死体が置かれていたという。


 しかも、その装置の傍に居たご老体のオークに話を聞いてきたらしい。


 モンスターとはいえ、喋れるんだ。


 流石に社長だ。


 私なんか戦うことばかりでそんなことは思いつきもしなかった。


 神に与えられたチート能力があったというのに・・・。


 その話によると最近、この島では、地殻変動が頻繁に起こるようになっており、移動しなくてはいけなかったらしい。


 そのためには、空間魔術師の力を借りたくて、召喚を行ったらしいのだ。


 つまり、私ではなく社長の力を借りたかったということらしい。


 しかし、何度召喚しても一部の生き物が消えるばかりだったが、皆この場所で死ぬよりはいいだろうということで、1頭を生かすために2頭が生贄になる装置だというのに、ドンドン行ったのだという。


 その飛ばされた生き物が全て殺されているとは知らずに・・・。


 社長は、僅かに残った弱い生き物を他の島に移動させてから帰って来たらしい。


 流石に暗い顔をしていた。


 全部、自分で背負い込むつもりらしい。


 もう私の口の出せる段階ではない。


 私は共犯者であって、慰め役になれない。


 でも、先輩には知らせておかなくっちゃ。


 社長が壊れてしまう。


 そんなのいやだ。


 たとえ、慰め役を先輩に譲ってでも回避しなくてはならない。


 本当は想像するだけでも、いやなのだが・・・。


 社長のゴールデンウィークの休みも今日で終わりで、ナリスをイギリスの公爵邸に送り届け、仕事に復帰するらしい。


「お姉さま。また来ますわね。」


《第9話完》

本当はGWあわせで毎日更新するつもりだったのですが、間に合いませんでした。


なんとか5月中に終ったので良しとしておいてください。


大変心苦しいのですが本作を暫くの間、毎週水曜日1回程度の更新にさせていただきます。


更新出来ない場合は活動報告で報告させていただきますので、お気に入りユーザー登録をお願いします。



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渚佑子が初めて召喚された世界でのお話。 「オタクの悪役令嬢は復讐は果たせる?」http://ncode.syosetu.com/n8132dh/連載中。
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