第6話 召喚者は勇者パーティ -2-
お読み頂きましてありがとうございます。
「オラちゃん来てたのか。」
「やあゴデちゃん久しぶり。」
実は彼ら2人はオラちゃん・ゴデちゃんの仲になっている。オラ魔王様がやってきたときに私の話しぶりだけでは、つまらなかろうといつも愚痴を聞かせてその内容を熟知しているゴディバに来て貰ったところ、その合いの手が事の外、気に入ったらしく仲良くなってしまった。
最近はむしろ私の話を聞きにきているというよりも、来たら即行ゴディバの部屋に行ってしまうほどなのだ。なにをしているのかは知らないけど。まあ私は楽でいいけどね。
「それでどうすればいい?」
ゴディバが惚けたことを言っている。フル装備で来させた意味が解からないのだろうか?
「やっておしまい!」
そう私が言うとまたしても惚けた返事が返ってくる。それもオラ魔法様とハモっている。いつも2人で何をしているか想像がついた気がする。
「「あらほれさっさー。」」
・・・・・・・
ゴディバは、敵の勇者と互角に戦っている。
オラ魔王様は、槍使いと弓使いの2人を相手に防御中心で特に倒そうという気は無いらしい。
私は時折ゴディバに支援魔法や治癒魔法を施しているがそれは向こうの魔法使いも同様だった。まったく、勝負がつかない。
「オラ様!アレやって。向こうの装備・・・破壊できるでしょ!」
オラ魔王様は、無属性魔法が得意で無機物ならば何でも切り刻む魔法を持っている。
私のその声に答えるように敵の剣や弓、槍が破壊された。
「うげっ、俺の100万Gの剣が・・・。」
「死んだエルフの形見の弓が・・・。」
「ダンジョンの最終階層の宝箱から出てきた槍が・・・。」
「「「卑怯だぞ!」」」
彼らはそう言いながらも次の得物を出してくる。
「オラ様!!!」
続けて破壊するように言うがオラ魔王様は首を振る。
「無理だね。すべてミスリル入りの武器のようだ。魔法では破壊できない。」
敵もさるもの魔族が使う魔法ということでミスリル入りの得物を出してきたようだ。
・・・・・・・
何時までも膠着状態が続いていく。相手の魔法使いを見ると何度もポーションらしきものを飲んで補給している。いったいどれだけのポーションを所持しているのだろう。こちらもポーションはあるものの異世界のものと比べると随分見劣っているかもしれない。
これでは、ポーションの数や質で負けてしまうかもしれない。いったいどうすればいいんだ。
ふいに後ろから、声がかかる。社長だ。
メールで簡単に説明してあったが、これまであったことと現在の膠着状態を説明する。
そうすると社長は、ある魔法陣にMPを投入しだした。空間結界の魔法陣だ。これは魔法陣内を自分の空間ように使用できるものでこのモデルルームを一種の倉庫として使用できるものである。
私が社長のすることを不思議そうな顔で見ていたのだろう。私の目の前に袋が4つ置かれた。
「「「「魔法の袋を返して!!!」」」」
どうやら、このモデルルームを倉庫に見立ててその場所にある敵の魔法の袋をあたかも自分の空間領域からモノを取り出すように取り出せるようだ。
これならば、敵はポーションが使えない。魔法の袋の中身は、モデルルームの備品の弁償費用に充てさせてもらおう。
ひとつひとつ、魔法の袋を逆さにして『全部出ろ』と唱える。よかった。個人識別用の魔法の袋では無いようだ。
衣料品や食べ物、武器や装備品やアイテム、生活雑貨から娯楽品までありとあらゆるものが吐き出される。金貨などの金目のものや武器・装備品・アイテムは換金する手段もあると思うが他は全く無い。
衣料品はこちらの世界では、コスプレイヤーくらいしか身に付けないだろうし、汚れモノまで混じっていてとても保存しておく気にはならない。
しかし同じ女性として魔法使いの彼女のモノまで処分するのは気が引けたので彼女の分だけ残して、後の3人分をオラ魔王様に廃棄処分してもらう。
「ああ、俺の王族としての正装が・・・。」
敵の目の前でオラ魔王様に廃棄してもらうと各人から嘆きの声が聞こえる。たかたが衣料品なのに・・・・。
食べ物は腐りかけのものまであったので即座に廃棄処分。生活雑貨は日本製のほうが上質だから処分。娯楽品は使い方がよくわからないので処分した。
目の前で処分する度に敵たちは、戦意を喪失していき。とうとう大人しくなってしまった。
念のため、暴れられないように各人ごとに個人結界の魔法陣にMPを投入する。
この魔法陣は触っている人間の半径1Mに結界を張るものであるため、戦闘中には使えなかったのだ。戦闘中にも使える拘束のための魔法陣もあることはあるのだが・・・。
《つづく》
戦闘中にも使える拘束のための魔法陣は、触手系だったりして・・・(笑)




