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第5話 召喚者への人材紹介所 -1-

お読み頂きましてありがとうございます。


今回お話し、第3話で異世界から若返って帰還した主人公の幼馴染がどこかで登場します。


「ファイアーボール!」


 私の掌から突然現れた火の玉が物凄いスピードで消えていく。


「いいねぇ。いいねぇ。その表情。」


 いま私は、モデルルームでMMORPGのプロモーションビデオ撮影に挑んでいる。このモデルルームには属性魔法が効かないように魔法陣が貼られており、さきほどのファイアーボールも壁に当たって霧散しているはずだ。


 社長が買い取ったMMOタイトルは、初めは開発者失踪という話題もありプレイヤーが増加の一途を辿ったのだが、このところ頭打ちになっていた。それは、あの開発者というカリスマが居なくなったせいだと囁かれていた。


 そこで社長はプロモーションビデオを製作し、ヨウツブに流し始めたところ回復しつつある。あの事件の関係者ということでいろいろと情報を頂いていたのだけど、頭打ちになっていると言って頭を抱えていた社長にこの提案をしたのは私だ。


 折角こんなモデルルームがあるのだ。さらに自分で言うのも何だが私と言う本物の魔術師がいるのだから、使わない手は無い。今回の撮影で3回目である。監督とカメラマンは社長のブレインでこれまでこの秘密は漏れていない。


 もちろん撮影の後、CGとの合成が行われるのだが本物のファイアーボールの迫力を損なわないできあがりで、CG解析で有名なある掲示板では実写疑惑まで持ち上がっているそうだ。


 ただ顔がそのまま出ているのでヨウツブに紹介されている会社の私のメールアカウントには、ファンレターや秘密結社へのお誘いなど怪しいメールまで送られてくる。


 そのなかでピックアップして返信しているメールがある。


 本当に異世界に行きたいとか、魔法を使いたいとかいうメールである。同じメールアドレスからプロモーションビデオを公開するたび10通以上も来るのだ。


 始めはストーカーなのかと思ったのだが私が好きというようなことは、一言も触れられていないのである。



・・・・・・・



 私は、渚佑子(ショウコ)。千葉で生まれ育った18歳。でも、昼間はマンションの管理人をやっている。


 普通は、マンションの管理人と言えば、中年のパートのおばさんか、管理会社に就職した男性社員がなる。じゃ、どうして私が管理人をやっているかというと、ちょっと事情がある。


 私は、異世界に召喚されやすい人間らしい。しかも高校受験・大検試験・就職面接といった大事な時にばかり、召喚されている。


 幸運だったのは3度とも元の世界に戻ってこれたことと、異世界で大賢者と呼ばれるほど魔法が使えるようになったこと。


 そして最も幸運だったのは、3度目の召喚に巻き込んでしまった面接官の社長に出会え、そのまま就職させてもらえたこと。


 その後も幾度となく召喚され続けているのだが、その度に解呪魔法で跳ね除けている。ただこの世界では、MPはほとんど回復しない。異世界なら一晩で回復したものが1ヶ月もかかる。


 つまり、解呪魔法は連発できない。しかも、寝ている間に召喚されることもありうる。


 そんな窮状を聞きつけた就職先の社長のご好意により、反転魔法陣の上に建てられたマンションの管理人をやらせて頂いている。


 このマンションの分譲スペースは完売なのだが、モデルルームは、目と鼻の先に建てられたままになっている。


 私を召喚しようとする召喚者は、反転魔法陣で逆にこの世界に飛ばされてくる。そしてその到着場所が、このモデルルームになるようにしてある。


 私にはこのマンションの管理人であると共に、このモデルルームにやってくる召喚者を排除する役割があるのです。








 ピンポーン。


 あのチャイムの音は、モデルルームに付けられたセンサーの音だわ。





 今日もどこか異世界の召喚者がやってきたみたい。さあ、仕事、仕事。



◆◆◆◆◆◆◆



「そうなんですか。それは大変ですね。」


 今回の召喚者に反転魔法陣のことを伝えるとコンコンと私を連れて帰ろうと説得する人間だった。この手の人間は、ウザイ。


 私を説得できるまで諦めないからだ。


 条件もかなり破格だったりする。送還魔法での帰還はもとより国賓待遇だの褒章だの初期装備だの・・・。最後には、契約金と称して大量の金貨を出してみせたりする。


 結局は、私が根負けして反転魔法陣の巻き戻しにMPを投入することになるのだ。しかも、数ヶ月後には、また同じ人物が現れたりもするのだ。


 反転魔法陣の巻き戻しには私の最大MPのほとんどを消費する。万が一の連続使用のため、社長からハイレアのMPポーションやレアのMPポーションを幾つか頂いているのだが、こんな高価なものをそう何度ももらうわけにはいかない。


 いつもは話半分で聞くのだが、今回はしっかりメモを取りながら聞いている。その様子を見て期待できると思っているのか終始笑顔になってきている。


「わかりました。いま私に紹介できる人物は、このお二方です。」


《つづく》

もし送還魔法が使える召喚者が諦めず、何度も召喚を繰り返したらどうなるか・・・。


予告 明日の次の投稿から投稿間隔を空けさせて頂きます。


よろしくお願い申し上げます。


詳しくは明日の更新で。

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渚佑子が初めて召喚された世界でのお話。 「オタクの悪役令嬢は復讐は果たせる?」http://ncode.syosetu.com/n8132dh/連載中。
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