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優里  作者: 日下部良介
69/75

第69話

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 必要最小限の荷物を旅行鞄につめて僕は家を出た。車は菜穂子が使うからタクシーでアパートへ向かった。アパートに戻ると、優里はバルコニーに出ていて僕を見つけると手を振った。そして、すぐにアパートの外まで走って来た。

「お帰りなさい」

「一人で大丈夫だった?」

「はい」

 そう言って優里は僕の腕にしがみついて来た。部屋に戻ると既に布団が敷かれていた。

「お風呂沸かしておきましたよ。一緒に入りましょう」

 いつもホテルでそうしているように、そして、それが当たり前だというように優里は言った。そして、僕の上着を脱がすとワイシャツのボタンに手を掛けた。


 優里の体は少し痩せたようだ。

「そんなに見ないで下さい。恥ずかしい…」

「じゃあ、僕は出ようか?ゆっくり一人で入ればいいよ」

「ダメです。私がちゃんと洗ってあげますから座って下さい」

 優里は一生懸命僕に尽くしてくれた。僕も優里の体を洗ってあげてから二人で湯船に浸かった。狭い湯船の中で抱き合うように僕たちは体を温めた。


 風呂からあがると優里が缶ビールを出して来た。来た時、冷蔵庫の中は空っぽだったはずだけど…。

「どうしたの?」

「近くにコンビニがあるのよ。お風呂上がりに一緒に飲もうと思って買って来たの。他にも色々買って来たわ」

 優里は缶ビールを二つのグラスに注ぐと、一つを僕の前に置いた。

「かんぱーい」

 僕たちはグラスを合わせると、一口で飲みほした。

「おいしいね」

 そう言って優里はいつものように笑った。そんな優理を見ていると、なんだかとても悲しくなって来た。二人でいるのにこんな気持ちは初めてだった。運命の人…。その言葉が僕の頭の中でぐるぐる回っている。僕たちはこのまま一緒に暮らすことになるのだろうか…。確かに、いつかはそうなるのかも知れない。けれど、それは今ではないようにも思える。




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