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優里  作者: 日下部良介
57/75

第57話

57.


 店を出たところで優里に会った。

「あら、どうしたんですか?」

「いや、やっぱり、山本さんは苦手だなあ」

「何かあったんですか?」

「俺を隣に座らせて、ベタベタしてくるんだ」

「ふーん、モテモテなんですね」

「冗談はやめてよ」

「ごめんなさい。でも、前田さんと約束をしたんでしょう?だったらちゃんと使命を果たすべきよ」

「そうは言ってもなあ…。優里だって反対してたじゃないか」

「だったら断ればよかったんですよ。約束をしてしまったのだから、少なくとも恰好だけはつけなくちゃ。さあ、行きましょう」

 優里は僕の腕を掴んで店に入って行った。


 再び店に戻った僕を見て山本さんが駆け寄って来た。

「お帰りなさい…」

 けれど、すぐに後ろに居た優里に気が付いて口を塞いだ。

「そこで会ったから連れ戻してきました。約束しておいて帰っちゃうなんて冗談じゃないですよね」

 優里はそう言って僕を店に押し込んだ。その勢いで、山本さんを和夫の隣に座らせた。僕と優里は二人に対面して席に着いた。


 それなりに盛り上がった。優里が来てからは山本さんも過剰な接し方はしてこなかった。和夫は終始、山本さんの隣でご機嫌だった。優里は山本さんをけん制しながら和夫にも気を遣っていた。僕には自分から特に話し掛けることもせず、聞かれたことにだけ答える様な他人行儀な態度だった。

 山本さんも終始、笑顔でいたのだけれど、優里に対しては異様なほどの観察眼を発揮していたように思えた。

 僕は優里が心配になった。僕とのことを邪魔したと思われて、山本さんの恨みを買ったりするのではないかと…。





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