第４８話
４８．
行き付けの居酒屋に入ってから間もなく和夫がやって来た。
「よう！珍しいな。お前から声を掛けて来るなんて」
「ああ。なんか、すっきりしなくて」
「なにが？」
「まあ、色々と。ところで、お前、青山さんとはよく飲みに行ったりするのか？」
「いや、俺もＰＴＡには最近あまり顔を出してないからほとんど会ってないよ。なんで？」
「ちょっと気になってさ」
「やめとけ！あの子は色んな男とデキてるって噂だから」
「えっ？」
「Ｐの中では有名な話だ」
「ウソだろう？とてもそんな風には見えないけど」
「俺もそう思うよ。けど、横井とは間違いなくデキてるな。あいつ、けっこうお母さんたちには人気があるから、あいつと仲のいいアオちゃんが妬まれて嫌がらせをされているのが現実だと俺は思ってるよ」
「じゃあ…」
「やめとけって！下手に関わると、とばっちりを受けるぞ。おまえ、あんなにキレイな奥さんが居るのに、今更アオちゃんなんかに興味持つことはないだろう」
「アオちゃんなんかって…。あの子は横井とは関係ないよ。横井のヤツが勝手に…」
「もう、やったのか？」
「な、何をいきなり…」
「そうか、そう言う事ならおれの話なんかどうでもいいんじゃないのか？」
「いや、不安なんだ。誰かを味方にしたいっていうか、何かあった時に頼りになる奴が欲しいというか…」
「ふーん、それで俺に声を掛けたのか？俺を同じ穴のムジナだとでも思っているのか？俺が麻美ちゃんといい仲だから」
「おまえ、やっぱり彼女と付き合っているのか？」
「まあ、あいつはちょっとお前に興味あるみたいだけどな。だからって、お前、絶対に麻美ちゃんには手を出すなよ」
「悪いけど、俺は彼女に対して何の魅力も感じていないから安心しろ」
「そうか。なら協力してやらないでもないぞ。取り敢えず、今日はお前のオゴリなんだろうな？」
「それはもちろん！」
「で、俺は何をすればいいんだ？」
