第43話
43.
店に居たのは真柴だけではなかった。カウンター席で真柴の隣に座っているのは高木だった。高木もまた大学時代の友人だ。僕の姿に気が付いた真柴が手を振った。高木も僕の方に振り返った。
「よう!遅いぞ」と、真柴。
「よう、じゃないよ。それより高木も来てるんならそう言ってくれればよかったのに」
僕はそう言って高木の方を見た。
「いや、偶然そこで会ったんだよ。久しぶりに安西と飲むって聞いたから邪魔させてもらったぞ」
そう言って高木は僕の背中を軽くたたいた。
「まったくだ!ホント、邪魔だよ。お前のせいで数が合わなくなった」
真柴は僕が連れてきた二人の女性を見てそう言った。
「取り敢えず座れよ」
そう言って高木が席を一つずれた。僕は山本さんに目配せした。山本さんは進んで真柴と高木の間に入って行った。僕は真柴の隣に座り優里は僕の隣に座った。
「安西、二人の美人を紹介してくれよ」
真柴が言うので、僕は二人を紹介した。
「この位置関係からすると、安西と青山さんはデキてるな」
高木がニヤニヤしながら言った。
「そうなのよ。だから、邪魔しちゃダメよ。二人は私がお相手してあげるから」
そう言って山本さんは僕にウインクした。何か魂胆がありそうだ。
僕らは大学時代の思い出話に花が咲いた。優里と山本さんは話を聞きながら興味のある話題になると質問したり、楽しいエピソードでは笑ったりしてそれなりに楽しそうだった。
「大丈夫?退屈してない?」
僕が優里に聞くと、優里は首を振って答えた。
「貴志さんが居るから。それに、この人たちの話は面白いから」
暫くすると、高木が席を立った。トイレから戻って来ると高木は優里の隣に座った。
「安西、美人を独り占めにしているなんてずるいぞ」
「彼女はダメだよ」
僕が言うと、高木は言い返してきた。
「だったら、こんなところに連れて来るなよ!」
高木はかなり酔っているようだった。




