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優里  作者: 日下部良介
37/75

第37話

37


 菜穂子が帰って来るのは11時過ぎだろう。バレーボールがある日はいつもそうだ。僕は冷蔵庫の中を眺めて適当に食材を取り出す。結衣との食事は途中でお開きになった。そのため、ビールを1杯飲んだだけだった。後味の悪い食事になったけれど、食べていないのだから腹はへる。

「さて、何を作ろうか…」

 思案していたところに携帯電話が鳴った。優里からだった。

『何してましたか?』

「これからメシの支度をしようかと思ってた」

『まだ食べていないんですか?』

「うん、今、帰ってきたところだから」

『私もお腹がすきました。ラーメン食べに行きませんか?』

「いいけど、今日はバレーじゃなかったの?」

『はい。行ってきましたよ。今、終わったところです。』

「練習終わったら、みんなでお茶に行くんじゃないの?」

『私、入ったばかりだから、そういうのにはまだ馴染めなくて』

「そう…。僕でよければ付き合うよ」


 いつもの中華料理店で僕は優里を待った。優里はすぐにやって来た。

「こんばんは」

 いつもと違って、少し緊張した表情だ。

「どうしたの?」

「私、バレーボール辞めようかな…」

「どうして?」

「菜穂子さんと顔を合わせるのが怖いから」

「ウチのヤツが苛めるのか?」

「そうじゃなくて…」

「まっ、取り敢えず、何か注文しよう」

 優里の気持ちはよく解かる。僕だって、優里の旦那が知り合いだったら、きっと、こんな風に優里とは付き合えない。そんなことを考えていると、メニューを眺めていた優里がはにかむような笑顔で僕の方に顔を向けた。そこにはもう緊張の色は見られなかった。そんな優里の顔を見ているとささやかではあるけれど、幸せな気持ちになる。

「何にするか決まったのかな?」

「はい!」






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