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優里  作者: 日下部良介
21/75

第21話

21


 下心などはないよ。ただ、むげに断るのも悪いような気がしただけ。

『僕が役に立つとは思えないけれど、話くらいなら聞きますよ』

 そう返信した。山本さんは僕の勤め先を聞くと、こっちの方まで出て来ると言った。僕は行き付けの居酒屋を教えて待ち合わせをすることにした。


 彼女の前には既に生ビールのジョッキが置いてあった。半分ほど飲み終えている。お通しの枝豆の他に冷奴とさつま揚げが並べられていた。オジサンっぽい…。そう思ったけれど、もちろん口には出さない。

「オヤジみたいでしょう?」

 そんな僕の心の中を見透かしたように山本さんは言った。僕は思わず苦笑してしまった。

「ところで相談とは…」

「いいの」

「えっ?」

「いいのよ。それは口実で、こういう風に安西さんと飲みたかっただけだから」

 うわっ!優里の言った通りだ。こりゃ、適当にあしらって早く帰った方がいいな…。


 なんで、こうなった…。終電も無くなった時間に僕は山本さんと二人でタクシーに乗っている。山本さんは僕に体を預けて眠りこんでいる。

「お願い、もう少し…」

 そう言われると、どうしても振り切れない。結局、こんなことになってしまった。一緒に居る間はほとんど彼女が一人で喋っていた。挙句の果てに酔っぱらって眠り込んでしまった。僕が一番嫌いなタイプだ。

 タクシーが地元近くまでやって来た。僕は彼女を起こすと、タクシー代を握らせて先に一人で降りた。ここからだと家までは歩いて20分程度か…。頭を冷やすのにはちょうどいいかも知れない。


 家に着くと菜穂子がまだ起きているようだった。そう言えば、今日はバレーボール仲間の飲み会があると言っていたな。僕に気が付いた菜穂子が言った。

「ご飯は食べて来たんでしょう?」

 そう言われれば、山本さんの相手をするのに精いっぱいで、大したものは食べていない。急に腹がへって来た。

「何かあるかな?」

「あるわけないでしょう!」





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