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優里  作者: 日下部良介
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第20話

20


 優里には僕の知らない顔があると思う。まあ、当たり前のことなのだけれど。

“運目の人”だと言って僕に近づいて来たのは彼女の本心なんだろうか…。いや、最初に近付いたのは僕の方だったか…。

 心を奪われれば奪われるほど、優里のすべてが知りたい。けれど、知ってしまったら一緒に居られなくなるようなことを優里は隠しているかもしれない。例えそうだったとしても、僕は知らないふりをして優里のそばに居るんだろうな…。


 意外だった。メールの相手が山本麻美だったからだ。和夫から僕のアドレスを教えて貰ったのだという。

『こんにちは。先日はあまりお話しできなくて残念でした。色々と相談したいことなどもありますので、またお会いしたいと思っています。急ではありますが、今夜などいかがですか? 追伸:和夫さんとは何でもありませんから』

 相談したいことって…。ちょっと怖い気もする。そうだ。優里は彼女のことを知っているはずだ…。僕は彼女に返事をする前に優里に彼女のことを聞いてみることにした。時計を見た。この時間なら電話をかけても大丈夫だろう…。

「山本さん?彼女がどうかしましたか?」

「うん、相談したいことがあるってメールを貰ったから」

「えっ?貴志さん、彼女にメールアドレスを教えたんですか?」

「教えはしないけれど、和夫に聞いたらしい」

「ふーん。彼女には気を付けて下さい。色んな男の人に言い寄っているって噂ですから」

「そうなんだ…。僕はてっきり和夫とデキてると思っていたけど」

「今はそうですね。もしかして、貴志さん、狙われているかも。私的には会わない方がいいと思いますけど」

「それって、ヤキモチかな?」

「はい!ヤキモチです。貴志さんを他の人に取られるのは嫌です」

「優里は可愛いね。でも、大丈夫だよ。僕は優里だけだよ」

 電話を切ると僕は山本麻美にメールの返事をした。


 仕事を終えて会社を出た僕は駅の近くにある居酒屋に顔を出した。そこは全席個室になっている店だった。若い女性の店員に案内された席には既に彼女が待っていた。

「ごめんなさい。こんなところまで押し掛けて来ちゃって。地元だと何かとうるさいから」

 山本麻美はそう言って、僕に席に着くよう促した。





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