第2話
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ベッドの中では子供の様に僕にしがみついている優里。体が触れていると安心するのだと言う。
タクシーで繁華街に向かった僕たちは二人だけで居られるところ、つまり、ホテルへチェックインした。
部屋に入ると、そのままお互いの愛情を確認し合った。十分に満ち足りた気持ちになってから優里が切り出した。
「やっぱり嫌だ!離婚したい」
「愛し合って一緒になったのではないのかい?」
「もう駄目なの…」
「子供たちはどうなの?」
「それは…」
「子供たちのためにももう少し我慢したら?」
「一緒に居るのが嫌なの」
「一緒に居る時間なんてほんの一瞬だろう?」
「そうだけど…。あの人に朝ごはんを出す時だけだけど」
「僕は君をこうして慰めてあげることは出来るけれど、子供たちの父親にはなれないから」
僕の言葉を聞いた彼女は、何か物思いにふけっているようだった。しばらくの間そうしていたと思ったら急に僕に覆いかぶさって来た。
「もう一回しようね」
僕は彼女のマンションの近くでタクシーを止めた。
「おやすみ」
車を降りた彼女がそう言って手を振った。僕は軽く頷いてタクシーを出した。100メートルほど走ってから再びタクシーを止めた。僕は料金を払って車を降りた。後方には彼女の住むマンションが見える。
コンビニで朝食用の食パンとツナの缶詰を買って家に帰った。妻はまだ寝ている。僕はキッチンに入ると冷蔵庫からハムと卵を取り出した。卵はゆで卵にした。細かく刻んだ白身と黄身をマヨネーズで和えた。
ミックスサンドとコンソメスープをテーブルに並べ終わった時に妻が起きてきた。
「いつ帰って来たの?全然、気が付かなかったわ」
「帰ってきたら、サッカーの試合をやっていたからずっと見ていたよ」
妻はコンソメスープを口にして満足そうな表情を浮かべた。
「美味しい!」