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優里  作者: 日下部良介
16/75

第16話

16


 和夫(かずお)から電話があった。友達と飲んでいるから来いという。

 店に行くと奥のテーブル席で一夫が手を揚げている。僕がその席に行くと隣に知らない女性が座っていた。

「紹介するよ。山本(やまもと)麻美(あさみ)ちゃん」

「こんばんは」

 麻美と紹介された彼女が軽く頭を下げる。僕らと同じくらいの年齢に見える。

「どういう知り合い?」

「PTAのお母さん。友達に俳優みたいな男前のヤツが居ると言ったら、是非、会いたいって言うから」

「僕が俳優?ずいぶん持ち上げてくれたね」

「そんなことはないですよ。和夫さんのおっしゃる通り、とても素敵です」

「そうですか?そんなお世辞を言っても何も出ませんよ」

「なんだ、何も出ねえのかよ」

 和夫が言った。多分、和夫は今日の持ち合わせがあまりないのだろう。だから僕に声を掛けたのに違いない。いつものパターンだ。

 和夫は子供の通う学校でPTAの役員をやっている。彼女もそうなのだろう。僕も子供が学校に通っているときは多少のことはしたけれど、最近の学校やPTAの関係者にはほとんど面識はない。和夫とはここに引っ越して来た時からの付き合いだが。

しばらくすると、もう一人、男が合流してきた。やはり、PTA関係の知り合いで横井義輝というのだという。

「どうも!」

 彼は僕の顔を見て訝しげな表情をした。

「和夫さん、この人は?」

 和夫は彼に僕を紹介してくれた。

「安西さん、どこかでお会いしました?」

「ん?僕は初めてだと思うけど…」

「そうですか。どこにでもいそうな顔ですもんね」

 横井は明るく笑いながらそう言うと、時計を見て呟いた。

「そろそろ、アオちゃんも来るはずだけど…」

 ちょうどその時、店のドアが開いた。

「遅くなってすみません…」

 聞き覚えのある声…。優里の声だ。優里は背を向けて座っている僕にまだ気が付いていない。





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