第14話
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このところしばらく優里に会っていない。今まで、僕の方から優里に連絡をしたことはなかったけれど、今日は僕が優里に会いたくなった。僕は帰宅する前に優里にメールをしてみた。
『今夜、出られる?』
優里からの返事はない。急な誘いだし、彼女にも都合はあるだろう。僕はそのまま真っ直ぐに帰宅した。
相変わらず、家には誰も居ない。菜穂子はいつもの様にパチンコにでも出かけているのだろう。八宝菜と中華スープが作ってある。米も炊いてあるようだけれど、冷蔵庫には焼きそばの麺も入っていた。お好みであんかけ焼きそばにする事も出来る。僕は面をカリカリに炒めて八宝菜をかけて食べた。
特に面白そうなテレビ番組はやっていなかったので、読みかけの本を読むことにした。もう少しで読み終えるという頃、メールの着信があった。優里からだった。10時半を過ぎたところだ。
『今からなら出られますが、遅いですか?』
『いいよ』
彼女がまだ食事をしていないので深夜まで営業している中華料理の店に行きたいと言ってきた。僕はそこでいいと返事をした。
『じゃあ、すぐに出るから』
出掛けようとした時、菜穂子が帰って来た。
「はい、戦利品」
そう言って、菜穂子はテーブルの上にセブンスターを2箱置いた。僕はそれを手にした。
「ちょうどよかった。今、出かけるついでに買いに行こうと思ってなんだ」
「えーっ!今から出かけるの?明日、仕事でしょう?」
「ちょっとだから…。あ、八宝菜、美味かったよ」
僕は菜穂子を振り切るように家を出た。
僕は店の奥の目立たない席で優里を待った。優里はすぐにやって来た。僕を見つけると、軽く頭を下げてから、周りの様子を確かめる様にして近付いてくる。
「こんばんは。遅くなってすみません」
「いいよ」




