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【ワシ、シリーズ】

インターホン ―招かざる訪問者―

作者: 天音空
掲載日:2026/07/14

よう動画であるやろ、インターホン鳴って外出たら、誰もおらんってやつ。


あれな、ワシほんまやと思うねん。


さっきな、家帰って、インターホンのランプついとるのに気づいてん。


見てみたらな、

「首から上が映ってへんヤツ」が映っとってん。


びっくりしたで。


まぁ、たぶんやけど、

やたら背ぇ高いヤツやったんやろな。


カメラの死角に、頭が入ってしもたんやと思う。


……でもな、怖いのはここからや。


先月のことやねんけどな。


三月十七日、十四時三十一分。

知らんオッサンが来とったの、思い出してもうたんや。


なんで思い出したかって?


そらな、強烈なサル顔やってん。

黒目だけがな光って……じーっと、こっち見つめとんねん。


あんな印象残る顔、

忘れる方がおかしいやろ。


それでな、もう一回見直そう思て、

インターホンの記録、さかのぼって探したんや。


……おらんねん。


オッサンの画像、どこにもないねん。


全部見たけど、おらん。


どこいったんや、あのオッサン。


ワシな、変なクセで手帳にも書いとるんや。


せやから、もう一回ちゃんと調べてみてん。


……やっぱり、おらんねん。


このインターホン、古い順に上書きされるはずやねん。


せやのに、あの日より前の画像は、ちゃんと残っとる。


三月十七日、十四時三十一分だけが、

まるで最初から存在せえへんかったみたいに、

ぽっかり消えとるんや。


……あれ、幽霊やったんか。


いや……それより、もっと嫌な想像してまうねん。


もしかして、もう家の中に入り込んどるんちゃうかって。


このインターホンの録画データな、

消そう思たら「家の中」から設定いじるしかないねん。


……ほな、誰が消したんや。


もし今もどっかに潜んどるとしたらやで。


風呂入るときも、

トイレ入るときも、

寝るときも――


すぐ横におったら、たまらんで。


最近な、ラップ音も増えてきとるんや。


「パシッ」って音に混じって、

寝息みたいなんも聞こえてくるねん。


ワシがこうしてPC開いて、

キーボード叩いとるとき――


あの日、消えたはずの「やつ」がな、

すぐ後ろで、聞いとる気ぃしてならんのや。


……嘘みたいやろ。


でもな、これ――ほんまの話やねん。


【了】

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