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第4話 ジュネ部結成?(1)

「ジュネ部?」

「そう、ジュネ部。この部活は当然学校には設立申請しない私設な部活動です」

「ひょっとして、ジュネみたいな恋愛を見つける事を目的とした部活のこと?」

「その通り!」

今からJRに乗って数分で自宅の最寄り駅に到着すると思っていた僕は、帰宅の時間が少し遅くなって面倒だと思いました。

しかし純衛の口から出た「ジュネ部」という単語が気になり、僕は純衛の腕を引っ張り、JR千葉駅中央改札の近くにあったベンチに移動し座りました。

「それでジュネ部っていうのは具体的に何をするわけ?」

「一つ目は、ジュネに相応しい男性探しです」

「いや、それは単なる男漁りだと思うけど」

純衛はそう言った僕の口を手でふさぎました。

「男漁りなんかじゃなくて、神聖なるジュネに相応しい相手探しです」

だからそれが男漁りなんだって、と言いたかったのですが確実に否定されると思った僕は黙って彼の言葉の続きを待ちます。

「『第一声』、このアプリを駆使ししらみつぶしにジュネっぽい男性を探します。それともうひとつ」

「何?」

「引き寄せの法則を使い、ジュネ的な環境を僕たちの生活に引き寄せていくんだ」

「引き寄せの法則?」

「そう。僕たちのなんともない単純な高校生活の中で、ジュネ的な環境を擬似的に演じる事で、ジュネ的な出来事をこちらに引き寄せるわけです」

「できるの? そんな事が」

「できるかどうかというより実験してみるんです。僕と倫の二人で。これは僕一人では絶対にできない挑戦なんだ。ジュネは二人いないと始まらない」

「勢いすご。突然早口になったし」

「だから倫。もう一度言うよ。僕と一緒にジュネ部を作って活動しようよ」

千葉公園にいた時と同じように握手をもう一度求めてくる純衛。

僕は何を言っても無駄、もう彼の思惑に乗せられていると考え、その握手に応えました。

「わかった。純衛の言う通り、ジュネ部に参加するよ」

「ありがとう! 本当に嬉しいよ!」

純衛は嬉しそうに笑いました。

「ただ、ネーミングについてなんだけど」

「うん、何?」

「ジュネ部って言葉は他の人に聞かれると恥ずかしいから、思い切って純衛部にしない?」

「僕の名前?」

「そう。ジュネって言葉、二人きりの時に使うなら問題ないけど」

「うーん」

純衛はアゴに右手を当ててしばらく考えている仕草で黙りました。

学校非公認であるが、彼にとって部活のネーミングは重要なようです。

「僕の名前がそのまま部活の名前になるのは……」

「気に入らない?」

「うーん」

「純衛の名前ってジュネに似てるし」

「うーん」

「じゃあ、アルファベット表記にして『JUNEI部』ってことにすれば、ジュネと似てるんじゃないかな」

僕がそう言うと純衛の表情が一瞬にしてパッと明るくなり、

「それならいいかも!」

「じゃあアルファベット表記の『JUNEI部』でいいね」

「さすが副部長」

僕、副部長なのか。そうか二人しかいないから必然的に純衛が部長、僕が副部長になるしかないよな……。

「今日から倫と二人で『JUNEI部』の活動、頑張ろうね」

「よし、じゃあ今日はもう帰ろう」

「え? これから活動内容を詰めようと思ってたのに」

「今日はもう腹いっぱい。また明日以降に話そう」

「倫と僕、クラスが違うからあんまり話す機会が普段ないよね」

「朝の、学校に行くときは?」

「朝はだるーい。それに電車内ではなかなかこういう話、できないよ」

「そうだった」

『JUNEI部』の活動内容は僕たち二人のセクシャリティに直結するため、同じ学校の生徒と接近する可能性が高い通学時には話しにくいのです。

「それならLINE交換しようよ」

「うん。いいよ」

僕は純衛のLINEアカウントを自分のLINEに追加しました。

彼のLINEプロフィールは少女漫画のキャラクターのようでした。

「このプロフィールのアイコンは何?」

「これは竹宮惠子。風と木の詩」

「これ、クラスの友達とかも知ってるってこと?」

「うん。特に何とも思われてないと思うけど」

「とりあえずこれでいつでも通話できるようになったから、帰宅後なら安心して色んな内容の話ができるね」

「うん、倫という友達ができて本当に良かったよ」

「ありがとう。じゃあ今日はこれで帰ろう」

僕と純衛はベンチから立ち上がり、帰りの電車に乗るためにJR千葉駅の中央改札を通りました。


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