7.
高級感は隠しきれないが機能性が重視された佇まいの際立つ部屋の、ふかふかで清潔感あふれるベッド。
俺は、前日に引き続き、超高級宿の最上級な部屋に付設された従者部屋の寝台の上で目覚めた。
うん。役得という奴だね。
エイプリルちゃん万歳!
アーヤさんに乾杯!
と、まあ。御利益を齎してくれた有難い方々に、こっそりと朝の感謝を捧げてから、俺は起き上がった。
流石に、呼ばれもしないのに女性の寝室に立ち入ることなど出来ないし、勝手に入ったらアウトだ。
辛うじてリビングであればセーフなような気もするが、女性が一人で寛いでいる部屋には入れない。
という訳で、俺は、そのまま寝台の上で待機。
美少女剣士なアーヤさんが、朝の鍛錬を終え浴室で汗を流し朝食をとる状況になるまで、寝たフリだ。
たぶん、眩しい笑顔のアーヤさんが、寝坊な俺を揶揄いに来てくれるだろう。
はっはっはっはは。役得がテンコ盛り、だな。
昨日は結局、またもや街に戻って、アーヤさんと二人で朝に出立した宿にもう一泊。
宿泊手続きをした後、すぐ戻ると言って何処かに出掛けたゴスロリ少女なエイプリルちゃんは、まだ戻って来ていないようだった。
う~ん。どうなるのかな?
まあ。宿泊費など一切は支払い済みのようなので、エイプリルちゃんが戻って来なくても、また、アーヤさんとの二人旅に戻るだけなので何の問題もない訳なのだが…。
* * *
本日も、俺は、お嬢様二人と同じテーブルで豪華な朝食に舌鼓を打っていた。
お嬢様二人は同じメニューだが、俺はワンランク下のメニューだった、けど。
エイプリルちゃん曰く、アーヤさんには困っていたところを助けてくれたお礼であり、俺には労働の対価としてなので、微妙に格差をつけている、らしい、
とは言え。減らされているのは甘味系のデザートや果物であり、ボリュームは俺の方が何気に増やされていたりする。
うん、まあ。ツンデレって奴だね。
ただし。そんなコメントを漏らしてしまったが最後、俺の食事自体が全カットされてしまいそうな感じではあったが…。
見た目はロリっ子で中身はご老体らしいエルフっぽかった女性は消え、満面の笑みを浮かべたエイプリルちゃんが、朝食をとるべく食堂に降りて来たアーヤさんと合流。
ほとんど俺の存在を無視し、アーヤさんに密着へばり付いてイチャイチャする通常運転に戻っていた。
エイプリルちゃんがアーヤさんに対してサックと述べた説明によると、ロリ婆は既に何処ぞにあるお屋敷へと戻った、らしい。
そして。エイプリルちゃんも、この後は街を出発してお屋敷のある街を目指し移動する、のだという。
「そっかぁ。エイプリルちゃんとの旅は楽しかったので、残念だなぁ」
「お、お姉さま~。嬉しいですわ。わたくとの旅が楽しいだなんて!」
「うん。楽しいよ~」
麗しの美少女二人は、もう見慣れてしまった掛け合いを、飽きることなく展開してる。
うん。良きかな、よきかな。
ワイワイがやがや賑やかに、あーでもないこーでもないと他愛のない話をしながら、エイプリルちゃんが宿の出立手続きを終え、宿の玄関へと至り…。
「ほら、そこの使用人。車を取ってくる!」
ホケっと美少女二人の後に続いていた俺に、エイプリルちゃんからの叱責が飛ぶ。
その可愛らしい手入れも完璧な綺麗な指は、宿の横の路地を指していた。
「...」
「早く、私たちが乗る車を、そこの路地から持ってくるのですわ!」
「は、はいぃ~」
どうやら。昨日の夕方に虚空へと消えて何処ぞに収納された人力車は、いつの間にやらコッソリと路地裏に出現させられているようだった。
俺は、大慌てでエイプリルちゃんが指さす方へと向かい、そこに当然の顔で待機していた人力車を回収。
手慣れた操作で優雅に車体を回送し、宿の正面玄関へと横付けする。
「さあ、お姉さま、どうぞ!」
「ありがとう、エイプリルちゃん」
「えへへへへ。これからも、お姉さまと一緒に旅が出来るなんて、光栄ですわ」
「あれれ?」
「暫くはこのまま、ご一緒させて頂きますわ」
「そうなの?」
「はい!」
「大丈夫なの?」
「はい、なのです!」
「そっかぁ~。良かったぁ」
「お、お姉さま~(ハート!)」
どうやら、まだまだ美少女二人に付属物一人の人力車の旅は、続くようだった。
エイプリルちゃんのお屋敷がある街は、遠いのか?
周遊する時間的な余裕を、無理やりに獲得したのか?
など、など。仔細は一切不明ではあったが、まあ、細かいことは気にしても仕方がない。
兎にも角にも。傍目には両手に花と見えなくもない程に豪勢な、美少女二人のお供をする人力車の旅は、まだまだ続くのであった。
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