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6.

 人力車の旅は、長閑な草原をポテポテと進んで行く。


 そう。

 この景色、再び。という奴である。


 超美形な幼女三人組は、この近辺で暗躍している窃盗団に売買目的で拉致されたお子様、と判明。

 街に戻って衛兵さんに相談したら、三人とも両親が見つかり、それぞれ帰宅していった。

 うん。目出度し、めでたし。


 ちなみに。

 諸悪の根源である窃盗団の面々は、俺たちを怒涛の勢いで追い抜いて行った武装騎馬集団の皆様に蹴散らされた、らしい。

 この近辺を治める領主様が抱える騎士団の皆様方が、あの爆走筋肉集団だったようで、治安維持に大いに貢献している、と街でも評判であった。


 のだが...何だろう、何かが違う、と俺の感性が訴え掛けてくる、のであった。


 むむむむむ。

 この違和感、なんなんだろう?


 あ、ああ~、成程。

 脳筋でガサツな筋肉モリモリ集団が騎士団、という点に引っ掛かっていたのか!


 余計な前世知識が、騎士団とはキラキラ煌びやかなイケメンな集団だ、と勝手に決め付けていたようだ。

 はっはっはっはは。困ったもんだね、俺。


 けど。あの、筋肉至上主義のおっさん達にも、困ったもんだ。本当に。

 助けた幼女三人、街道のド真ん中に放置して、盗賊討伐に熱中していただなんて…。

 ダメ駄目、だよね?


 と、まあ。兎にも角にも。

 美少女二人とオマケ凡人一人による人力車の旅は、本日も、絶賛継続中なのでした。






 広大な草原に続く、延々と続く古びた街道。


 緩やかなカーブ、なだらかな傾斜。

 小規模な林や大きな岩を迂回し、険しくはない丘を越え、延々と続く街道。


 デジャブー、という奴である。


 いや、まあ。当然と言えば当然、ではある。

 同じ道を再び進んでいる、のだから、そうなる、よね。ははははは。


 俺は、微妙なカーブ長めな坂道をやっと登り切って、ほっと一息。

 前方に開けた眺望を、感慨深く眺め…。


 はっはっはっはは。


 幼女が道を塞いでいた。


 うん。新たな幼女の、出現である。


 幼女が、でで~んと、道を塞いでいた。


 腕組みし、踏ん反り返って…。

 そう。仁王立ち、という奴である。


 なんと言うか、これまた見覚えのある光景、だった。

 場所は違えど前日に、某ゴスロリ少女が、同じようなポーズで立っていましたよねぇ。

 ははははは、マジですかぁ?


「で、出たな、ロリばばぁ~」


 これもお約束、という奴、なんだろうか?

 またもや、ゴスロリ衣装を纏う変態少女のエイプリルちゃんが、吠えた。


 もう、それは盛大に、吠えた。


「何を寝ぼけた戯言を...さあ、お嬢様、お屋敷に帰りますぞ」


 見ため幼女が、老成した貫禄ある態度と声色で、叱責を吐く。


「あ~、何も聞こえない。ロリ(ばばあ)の妄言など、わたくし、聞く耳を持っておりませんわ」

「ろりババぁ?」

「おお~、本物のロリ婆なのか、この子!」


 見ため幼女が、ギロリとこちらを睨んだ。


 げげげ、ヤバい、やばい。ついつい口が滑った、失言だ。

 俺の口からポロリと零れた不用意な一言が、どうやらご本人様の耳に入ってしまった模様。


 俺は、目を逸らし、姿勢を正して路傍の石の振りをする。


 はい。私は何も言っておりません、何も。

 私は単なる使用人であり、景色の一部です。はい。


 心を無にし、強烈な威圧感と殺気が霧散するのを、ただ只管に待つ。


「...」

「ふん!」

「...」

「まあ、良いわ。二度目はないぞよ」

「...」


 外見は幼女の、前世知識で小学校低学年から中学年に相当する少女のように見える、童顔でツルペタ体形の女性の表情が、無になる。


「さあ、お嬢様。お屋敷に戻りますぞよ」

「き、聞こえない~」

「ご主人様が心配されておられますぞ」

「う、五月蠅いわね。ちゃんと帰るから、放っといて!」

「そうは参りません」


 少し耳の先が尖っているようにも見える姿形は幼女な女性の、纏う空気が鋭利になる。


「うっ、もう、そんなに怒らなくても良いじゃない」

「お嬢様」

「あ~、もう。お姉さま、ごめんなさい、少しお待ちになっていて下さいな」


 ぴょんっ、とゴスロリ衣装を翻してエイプリルちゃんが人力車から飛び降り、トテトテと仁王立ちする幼女の元へと向かう。

 そして。幼女とゴスロリ少女が、ひそひそと内緒話を…。


 はてさて。強烈な強者二人による協議結果は、如何に?

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