表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/29

2.

 盛者必衰の理、などと断言されると微妙な違和感はあるが、真理だとは思う。


 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。って、奴だよね。うん。

 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。と、続く箇所で出てくる文言、なんだけど…。

 沙羅双樹の花の色って、どんな色?


 って言うか、沙羅双樹って、どんな植物なのやら…。

 と。まあ、取り敢えず、記憶にはなく考察もできない文言の探求は置いておくとして。


 おごり高ぶっている人の栄華など長く続くものではなく、覚めやすい春の夜の夢のように、勢い盛んな者でも結局は滅亡してしまう。という人類社会に対する解釈については、同意、だ。

 けど。墓穴を掘って自滅するような人物であったならまだしも、山谷あっても人並かそれ以上の努力を続けている人物が短期視点で酷評され切り捨てられる、といった理不尽には賛同など出来ない、よね?


 ただ。一般大衆という有象無象も併せ一括りにした人間集団としての観点でとなると、直接の関わり等がない赤の他人の没落は、一時的な雑談のネタでしかなく義憤に駆られ憤慨する程の話でもない、といった扱いになるのが世間一般における通常の感覚であるようだけど。


 うん。諸行無常、だね。


 と、いう訳で。

 俺は、自身の無力さと良策が一つも思い浮かばず何も行動できなかった己が低能さに打ちのめされ、項垂れながらトボトボと寝床へと向かって歩いていた。






 悪徳商人による美少女虐めの第一幕は、ただただ傍観者として見ている事しか出来ずに、終わった。


 意外にも紳士的(?)に通告だけして整然と引き上げて行ったガラの悪い商人様御一行を静かに見送ると、カトリーナ学園は、少し早めの授業終了と相成った。

 言い方と態度は横柄だったけど、敢えて授業が終わる頃合いを見極めての配慮ある来訪、だった?


 拍子抜け、と言うと何かが違うのだが、イベントの趣旨の割には平穏に終わった、と言えるのは確かだと思う。そう、粛々と予定が消化された、といった感じのような気が…。


 と、まあ、兎に角。

 登場人物と演出はベタな悪役登場シーンではあったのだけど、見ため悪徳商人さんの主張は、真っ当ではあった。


 当初は領主肝入りのプロジェクトだったが、目立つ成果が一つもない。

 卒業生に、目覚ましい成果を上げた者が一人として誕生していない。

 生徒数はここ数年ほどジリ貧の状態で、生徒の構成は一部の貧民街の住民に偏りがある。

 街の識字率に、変化がない。卒業生の人数より街の人口増加の勢いが上回っているとはいえ。

 嘗ては街の郊外だった広い敷地も街の発展により今では準一等地となり、費用に効果が見合っていない。


 などなど。


 冷静になって第三者視点で客観的に見れば、ある意味では真っ当な主張なのだ。

 しかも。提示されている条件も、悪辣とは言えなかった。


 そろそろ見極めをすべきタイミング、寧ろ遅いくらいまで待っている。

 学園の経営権を大人に譲渡し、好立地にある敷地の再開発で街に貢献すべき。

 大丈夫。街の歴史の記念碑として、一部の施設は保存する。

 学園は閉鎖するが歴史上の遺物とし、街の発展に寄与したと大々的に賛美する。


 うん。まだまだ若くて花も恥じらう乙女なカトリーナさんを過去の人扱いするのはどうかと思う、けど。

 穏便と言えなくもない、提案だった。

 のだが…。


 神童も、歳を取ったら唯の人。

 街の経済を回すプロに、お任せあれ。

 街の顔役への根回しは、既に出来ている。

 当商会の新規事業に、横やりを入れる者はいない。


 学園に通う子ども達を、排除しようと思えば簡単にできる。

 個別に子ども達の親へと経済的なプレッシャーを掛けるのは簡単。

 もう全て調べは付いていて、いつでも着手できる状態にある。


 という最後の方に切ってきたカードは、いただけなかった。


 これって、脅迫、だよね?

 いや、まあ。正義の人じゃないんだから、出るべくして出た発言だ、とは言えるけどさぁ…。


 と、まあ。取り敢えずは、何だか色々と釈然としないままに消化不良な状態ではあったけど、突然のイベントが静かに幕を閉じたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ