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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

また一歳児から始めます~多分異世界で~

一歳児から始めます~メイドロボットがいる日常~

作者: 風見ミルク

ピーピピ♪ピープンパパーン♪

歌のお兄さんとお姉さんが全力で笑顔を振りまきながら手を振る。


テレビの画面に

「またみてね!」

のテロップがが出て幼児向け番組が終わった。


音楽が終わると番組が切り替わる。


「この後は、国会中継をお送りします」

と言うアナウンサーの声が流れ、スーツを着た大人が映し出された


前世の国会と何ら変わらないヤジの飛び交う国会中継

画面の下には

「予算委員会・本会議」

と表示されていた。



「総理!総理!ちゃんと答えてください!総理!」

「先ほども申しました通り・・・・」

「答えになってないじゃないですか!」

「静粛に!静粛に願います」


…うん、懐かしいなこの感じ。

どう見ても前世と同じ日本。


俺の名は 斎藤サイトウ 海人カイト

ぴちぴちの一歳児。

だけど中身は前世の記憶がある30代の元サラリーマンだ。



一週間ほど前、気が付いたら赤ん坊だった。

最初はパニくって、よく泣いた。赤ん坊だから泣くのは当たり前だけど

まあ、泣きまくった。

そのうち泣くのにも飽きて落ち着いた。


両親は普通の会社員で、テレビ番組も前世と同じ様な感じ。

家の中にある家電も食べ物もほとんど同じ。


…ああ、これは日本に転生したんだ。

しかも時代もそんなに変わってない。

タイムラグ無しの即転生のパターンかな。

国会中継で映る政治家は知らない顔ばかりだが、もともと政治にも興味なかったから覚えてないだけだろう。



「ユウキー、荷物来てるよー。玄関に置き配」


母の夏菜なつなが、キッチンから父・ユウキに声をかける。


「おっ、届いたか。ちょっと取ってくるわ」


父・ユウキがテンション高めに玄関に向かって行ったが、直ぐに苦笑いしながら戻ってくる。


「…無理だわ、持てない。あの箱、けっこう重いわ」


「そんなに重いの?」


「100キロ近くあるかも。

運送屋、よく運べたな、あれ。一人じゃ動かせないし玄関で開けるしかないわ」


父がスマホを取り出して、何かの操作をしている。


「ロック解除と認証が終わった。蓋が開くぞ」


玄関の方から謎の機械音が響く。


ウィィィン…シュウゥゥ・・・


俺はリビング入り口のベビーゲートで玄関が見えない。

音は少し聞こえるんだけど。


「えっ?ちょっとナニコレ…」


母の困惑した声が聞こえた。何が出てきたんだ?



「はじめ…して…は戦闘支援……………です。」


母とは違う女の人の声?

リビングからじゃ遠くて内容が良く聞き取れない。

戦闘支援なんとかって聞こえた気がしたけど?


しばらくして、両親と一緒にリビングにやってきたのは、

黒と白のメイド服を着た女性だった。


え?メイドさん?なんで?


背中には巨大な刀。

まさに漫画に出てくる斬馬刀。


なんでメイド?なんで刀?ってか銃刀法違反とかじゃないの?

コスプレ?

刃物持ったメイドとか恐怖でしかないわ。


母親は刀を背負ったメイドをみて困惑している。


「…あー、斬馬刀かぁ。やっぱリビングに入るとデカいわね、それ。

うち、狭いからちょっと邪魔かなぁ…」


え?そこ??


いや、ちょっと待って。


謎のメイドが武器持ってる事は良いの?

突っ込むのは武器の種類なの???


「お坊ちゃま、はじめまして。

私は戦闘支援型家事ユニット・MA-R1-0(エムエー・アールワン・ゼロ)です。

よろしくお願いします」


セントウシエンガタカジユニット??


「うちの会社の最新式の戦闘メイドロボットなんだよ。

社内モニターに応募して当選したやつ。

倍率高かったから当たると思わなかったよ。

斬馬刀は次元収納に入れるから普段は邪魔にならないから大丈夫だって」


父親が母親に説明してる。


「学生時代の友人の家の戦闘メイドロボットは小型の幼女型で可愛いのよね。

武器ももっと小さいし。」



「夏菜の友達の家は都市部に近いマンションだったよね。

マンションは管理会社で強力シールド張っているから、魔物が来ても大丈夫だから家用の護衛ロボットは必要ないだろ?

ちょっとした外出時に連れて行くだけなら小型ロボットでも大丈夫だし。


でもうちは郊外の戸建てだからさ。

都市部に比べて中型魔物も出やすいし、

家を買った時に一緒に買ったペット型迎撃ロボットだけじゃ、戦闘力がちょっと頼りないんだよ。

ペット型だと人を守りながら戦う事が出来ないし。

外出時には家の守りをペット型に任せて、護衛としてメイド型を連れて行くようにすればいいと思うんだ。」


「…あー、たしかに中型以上の魔物相手だと幼女型ロボットとか、ペット型だと不安があるわねぇ。」


え?え?

うちの両親は何の話してるの?

戦闘メイドロボット?魔物?




家の家電も、食べ物もテレビの幼児番組も、親の服装とか会話とかも

前世の常識とほとんど変わらなかったから、ここが日本だと思い込んでた…


ロボットの戦闘武装が当たり前で、一般家庭で魔物対策で導入されているって。

そんなの日本にはなかった。


つまり、ここは「日本」じゃない。

日本に似た別の世界だ。


「そういえばこのロボットの呼び名どうする?

えむえーあーるわんぜろ、って呼びにくくない?」


母がメイドロボを見ながら言う。


「任意の呼び名を付けていただくことが出来ます。

どうぞご自由にお呼びください」


メイドロボットが答える。


「うーん…、MA-R1…”マリ”でいいかな」


母の問いにメイドロボットが答える


「承知いたしました。

これより”マリ”として応答いたします。

よろしくお願いいたします」


ロボットは静かに頭を下げ、背中の斬馬刀を光の粒子に変えて、次元収納した。


…まじで異世界だ…


でも、もう一度人生をやり直せるのはありがたい。


前世より良い家族に恵まれているとも思う。


まずは歩けるようになろう。

そしていろいろなものを見てこの世界を知ろう。


マリとの生活もちょっと楽しみだ。

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