7.ポンコツ女神様のミッション、生命危機
Ⅰⅱ Good Bye 平穏、Hello 無理難題
ふわあぁぁ~……。
皆さん、おはよう……じゃなくて、もうお昼を過ぎていますね。
現在、わたしはお昼寝から目が覚めたばかりで、眠い。
眠い、眠い、眠すぎる!
眠すぎて死んじゃいそう……。
だけど、午後のルーティーンを紹介するためだけに起きてきてあげたんだよ。
―――えぇ?
恩着せがましい?
……ごめんなしゃい……。
あ、やっちゃった。
別に、脳内でまで赤ちゃん言葉になる必要はないのに……。
わたしのバカバカバカッ。
「天使様~。起きましょうねぇ~。」
ぎゃぁー!
ニャタリーだ~!
……逃げたくても逃げられない悲しさ、赤ちゃんであるからこその世知辛さ……。
「あぁ、やっぱりかわいいですね。そのうち、誰かにさらわれてしまうかも―――はっ。今、窓の外に、怪しい人影が……。」
助けてよぉ。
おまわりさぁーん、変態がここにいま~す!
ここにいるナタリーとかいう名前の侍女は、ついに幻覚が見えるようになった精神異常者だよぉ、きっと。
ガシャァーンッ!
「キャァ~ッ!だ、だれかぁ~っ!」
な、なにっ、何なの⁉
窓ガラスの割れる音と同時に、黒い何かが室内に飛び込んできた。
うわあぁぁぁぁぁぁっ。
浮遊感がしたと同時に、わたしの意識は暗転したのだった。
◇◇◇◇◇
現状把握完了。
どうやらこれは、アリアフィディーナの言っていたミッションの第一段階のようだ。
……やっぱり、面倒だった……。
ポンコツ女神様いわく、『助けを待っていればいい』らしいけど、ちょっと待って⁉
人の話、ちゃんと聞こうね⁉
わたし、こんな状況は聞いてないし、納得してないんだけど⁉
ありえないよ、天啓。
思いやりが足りない。
まったくもって、一ミリも足りてない。
約束も平気で破ってるし。
『この誘拐の救出場面で、思う存分研究できる環境が整いやすくなる出会いがあるのよ。だから、おとなしく誘拐されてねぇ~。』って、いや、全面的にバックアップしてくれるんじゃなかったの?
え、嘘ついたの?
ひどいよぉ。
そもそも、助けが来るまで生き残れるのだろうか……。
答えはもちろん、論外。
たぶん死んじゃうよ、わたし。
まだ赤ちゃんなのに、こんな不衛生なところにほったらかされてるんだもん。
ほら、見てください、この惨状を。
わたしが寝かされているのは、ずっと洗濯されていないような悪臭を放つシーツをかけられた、びみょーに綿が入っているような気がしなくもない、ガッタガタに揺れる、不安定な木の板の上。
その板がある部屋は、狭い上に掃除がされていないようでほこりが舞っている。
窓がなく閉鎖されている、かび臭くて息苦しい空間。
呼吸するのもつらい。
目もかゆい。
挙句の果てには、水分も何も与えられないまま半日ほど放置されている。
―――あぁ、ナタリーは大げさで変態だったけど、精神は正常だったんだなぁ。
ごめんね、ニャタリー。
あなたの忠誠心は本物だった。邪険にはしたくない。
もし次に会えたら、ひどいことは言わないよ。
まずい。
酸欠も相まって、生命的危機を本格的に感じてきた。
ちなみに言っておくと、精神はもうすでに半分死んでる。
仮死状態。
たぁ~すぅ~けぇ~てぇ~!
あ、終わった。意識が遠のいていく。
しゃようにゃりゃ。
13,7,2024




