セカンドライフの始まり②
食堂に着くと、アタシは少し大きめの声で叫んだ。
「ミリアー、いないのー?」
しかし、返事はない、もうここにはいないのか。すると、
「だーれだ?」と、急に誰かがアタシの目を両手で覆う。
「わっ!?」アタシはびっくりして思わず声をもらした。
しかしすぐにその手の正体が分かった。
「ミリアでしょー?」こんな馬鹿げた事をするのは、この家でコイツだけだ。
「あっはは、正解〜いやー、にしても結構時間かかったね、少女よ、我は待ちくたびれたぞ!」などと、ふざけた口調でミリアはほざく。(だけどこの話方、なんか覚えがあるような気が…)
この子がミリア、エメラルドグリーンの瞳に、真っ黒な髪色、私達家族の中でも1番大人っぽく、時に子供のようにはちゃめちゃな事をするが、誰よりも家族思いのリーダー的存在で、なんだかんだアタシの1番の親友。
「で、アタシに何か用でもあるの?あんな伝言や手紙まで用意して。」と、アタシはミリアに聞いてみた。すると
「もうーやっぱり忘れてる〜ふふっ、でもそれがルーって感じで、なんかホッとするな〜。明日ルーの誕生日でしょ?
それで私達年長組は全員10歳、いよいよこの孤児院ともお別れ、だから最後に思い出作りとして、ルーとちょっと遊びたかったんだ〜。」
「そっか、明日誕生日だったんだ。忘れてた」今までの明るい雰囲気が少し暗くなった。しかし、
「じゃ、2人で少し家を歩いて回ろっか!」と、ミリアはすぐに淀んだ空気を戻してくれた。
実はこの孤児院では2歳間隔の年代別のグループに別れていて、その年代の全員が10歳になると、orphansparadiseという、世界で初めて孤児のために作られた独立国家、バハザール国の最大規模の孤児院に移り、そこで将来のために様々な勉強やスポーツを学ぶらしい。
アタシが転生した2年前も、当時の年長組の最後の1人が10歳になった次の日に、オルファンズパラダイスに移って行った。
そもそもアタシはここがどこの国が分かっていなかったが、この孤児院での毎日の授業で、この国こそがバハザール国という事を学んだ。そしてこの孤児院はバハザール国の運営する大量の孤児院の1つだそうだ。ちなみにこの家に住むのは女の子だけ、男の子用の孤児院もあるとか。
とまぁ、2年かけてこの国についてようやく分かってきた。そして1番肝心な事 それはこの世界がアタシの前世の世界の5年後の世界だったという事。
異世界ではない、ここは紛れもない前世のアタシが生きていた世界、つまり、日本に戻れば玲那に会える。それがいつになろうとも、アタシは絶対に玲那に会いに行くと決めていた。
だが、一つ問題があった。例え玲那に会えたとしても、今のこの女の子の体では、アタシが白石天斗だという事を、玲那は信じてくれるのか、という事だ。
そんな事を考えながら、アタシはミリアと家の中を歩いて回った。
2年という短い期間とはいえアタシにとっては、ミリア達家族と暮らしてきた大切な家だ。色んな思い出に浸りながら、家のあちこちを見て回った。
その間、年少組の双子のライチとベリー、照れやのラミー、ミリアと同じで食いしん坊なリコ達に会った。
皆年や生まれは違っても大切な家族だ。
「やぁやぁ皆〜我と一緒に家の中を見て回らないかい〜?」と、いつものよく分からない口調でミリアが皆に言い、途中から皆で一緒に回った。
この孤児院(家)の大きさは、日本の小学校の約二分の一ぐらいの広さで、二階建てになっている。一階は主に勉強をするための教室や、図書室、それにお風呂と食堂、少し大きめなリビングなどがあり、2階はアタシ達孤児と、お母さんである先生達全員分の部屋がある。
アタシ達の人数は、孤児が27人、先生が3人と、食堂のおばさんが2人の計32人で暮らしている。
「明日でこの家とも皆んなともお別れか…」と呟やくと、
「だーい丈夫!!アタシ達がいるじゃん!!年少組の子達とはお別れだけど、シェラもセリナも、それにルミア達もいる。新しい生活だって待ってる、きっとここと同じぐらい楽しいよ!」
と、ミリアが励ましてくれた。
諸事情につき、次号は少し遅れるかも知れませんが、今後とも、何卒よろしくお願いします。