結末は??
マユは忙しく頭を働かせる。
(愛し合う二人のために、今回の騒ぎに決着をつけなければ……!)
「ええっと……。そうだ! 私が両国の婚姻を阻止するために、レティシアさんを閉じ込めて皆さんを騙したことにしましょう……! 計画は失敗に終わり、邪悪神の手先である私は逃げ出したと……」
レティシアは眉を吊り上げた。
「いけませんわ! 恩人のマユを悪者にするなんて神の教えに反します! もとはと言えば、姿を消したわたくしが原因です! 正直に話して、どんな罰でも受けます!」
「私も罰を受ける! そしてもう二度と離れない!」
「アンドレア!」
「レティシア!」
二人は固く抱き合った。そして周囲の者たちは、一斉に顔を赤らめた。
プランタジネット王は、コホンと咳をして皆の注意を惹いた。
「今回の一件は、私の愛娘であるレティシアがいなくなり、マユに身代わりを頼んだことが発端だ」
三人の王子が抗議する。
「父上はご存じなかった! 責任は長兄の私にあります!」
「兄さんだけじゃない! 俺も同罪だ!」
「ボクもだよ!」
王は微笑んだ。
「三人が誠実で私は嬉しいよ。愛する我が子の犯した罪は、親である私の罪だ。ザクセン王と両国の議会に、後の判断は任せよう。そしていかなる結果になろうとも、私は愛する娘と、娘の命を救ってくれたアンドレアという若者の婚姻を祝福するよ」
「お父様……!」
「お義父様……ありがとうございます」
愛し合う二人は、父なる王に深く頭を下げた。
それから数週間後。
コン! コン! コン!
大きなノックの音でマユは目がさめた。
「大家さん!? ごめんなさい! お家賃は待ってください!」
飛び起きたマユはドアに向かって叫んだ。
シ~ン……。
「大家さん……?」
「マユお嬢様、おはようございます。モーニングティーでございます」
「うぁ……。セヴィさん、おはようございます」
「いけませんね。ソファでおやすみになられたのですか?」
「結果を待ってるうちに寝ちゃったみたいです……」
「結果が出たのは深夜過ぎでございました」
「どうでしたか!?」
「皆様は朝食の間にお集まりでございます」
「わかりました! すぐ行きます!」
「そう仰ると思いまして、紅茶は適温にしてあります」
「助かります!」
マユは一息に紅茶を飲み干すと、朝食の間へダッシュした。
朝日が射しこむ朝食の間に駆け込むと、全員疲れた顔でテーブルに座っていた。それぞれの前には美味しそうな朝食が並び、紅茶が湯気を上げているが、誰も手を付けたようすはない。暗い雰囲気にマユは気おくれする。
「おはようございます……。どうでしたか?」
マユの問いかけに、プランタジネット王は沈痛な面持ちで答えた。
「……両国の査問会の結果、公開処刑が決まりました。アンドレア王子とレティシアは、公開処刑に処せられます」
「公開処刑……? そんな……!」
マユは強いめまいを感じて、ドアにすがりついた。




