まさかの!?
いきなりですが、申し訳ありません! このお話、第29話で完結していました。ところが主人公のマユが「まだ終わっていません! 続きを書いてください!」そう泣いて頼むので10か月間もの間、毎日まいにちまいにちまいにち……書き貯めていました(白目)。そしてやっと完成したので、満を持してアップします! 今は連載中ですけれど、完結保証でございます! エタりません! 総文字数は103,433文字で読みごたえも十分! どうぞお楽しみください♪
余談ですけれど主人公のソウ マチは、実在しております。普段は小説家になろうのエッセイジャンルで暴れております♪ 日間ランキングをご覧頂けば、毎日たいていランクインしております☆そちらもご笑覧いただければ光栄でございます☆
さらに余談ですけれど、小学館 ジュニア文庫 「姫さまですよねっ!?」の作者です。そちらもご高覧頂ければ、幸甚の極みでございます☆
ではではドタバタストーリーの、はじまり、はじまりぃ~♪
「私、終わった……」
神社の鳥居の下で佐藤マユは、がっくりヒザをついた。スマホの通話終了ボタンを押す元気もない。目まいがするのはショックのせいか、お金がなくて何も食べていないせいか?
たぶん両方。閉じた目蓋の裏に星がチカチカする。地面に手をついた拍子に、着古したシャツの肩が裂けてしまった。何年もはいているデニムのヒザは、とっくに穴が開いている。砂利がヒザに当たって痛いが、アパートの家賃さえ払えないのに新しい服を買う余裕なんてない。
「もうダメだ。死にたい……ってか、死ぬ……」
自分の情けなさに、涙がこぼれ落ちた。
ザッザッザッ。境内の砂利を踏む音がして、誰か近づいてくる。
「お嬢さん、どうなさったの?」
可愛らしい女性の声だ。目を閉じたままマユは答える。
「ちょっと、いろいろ……」
「何かおありになったの?」
「じつは……」
言いかけたマユは口を閉じる。知らない人に話しても迷惑をかけるだけだ。
「……いえ、大丈夫です。ご親切にありがとうございます」
礼を言いながら目を開けた。目の前にガラスの靴と、ピンク色のドレスの裾が見える。
(? ガラスの靴とドレス ?)
視線を上げると女性の胸元から今にもこぼれそうなオッパイが目に入った。
たわわん♡
「わあっ! こぼれる! 見えちゃう! 胸が見えちゃいますよ!」
思わず女性の胸元を手で押さえるマユ。
ぽよよん♡
たわわん♡なオッパイは柔らかく、ぽよよん♡とマユの手を跳ね返す。
「あん♡」
「すすす、すみません! 胸が見えそうだったので、つい……!」
「かまいませんわ♪ ご親切にありがとう♪」
たわわな胸元から視線を引っぺがして女性の全体像に目をやると……。
和風な神社の境内に、バリバリ洋風なお姫様が立っていた!
「シンデレラっ!?」
「ごきげんよう♪」
ドレスの裾をつまんで優雅にお辞儀をする見知らぬ女性は、輝く金髪を美しく結い上げキラキラ光るティアラを頭に乗せている。肘上まである絹の手袋をはめて、生クリームのようにすべらかな肌をした魅惑的な胸の谷間がまぶしい。彼女が身動きするたびに、魅惑的な胸がぽよんぽよん♡と揺れる。マユは自分の貧乳が恥ずかしくなって、そっと両手で自分の胸を押さえた。
女性はスミレの花を思わせる美しい目で心配そうにマユを見ていたかと思うと、花びらのような可憐な唇から甘い声が響いた。
「アタクシはシンデレラではありませんことよ♪ でも誉めてくださって、ありがとう♪」
「とうとう幻覚が見えるようになってしまった……!」
地面に倒れ込むマユ。
「まあ! 大丈夫ですのっ!? いえ、大丈夫ではありませんわね。大丈夫じゃないから、アタクシがこちらへ来ることができたのですもの。でも大丈夫ですか?」
シンデレラもどきは、ワケのわからないことを言う。
「……あなたは誰ですか?」
マユがじりじり後ろへ逃げながら訊くと、シンデレラもどきは微笑んだ。
「アタクシは、佐藤マユです♪ 小説を書く時のペンネームは、ソウマチです♪」
「それって私のことじゃない!? 私が佐藤マユで、私のペンネームがソウマチよ!? 何で知ってるの!? あなた誰なの!?」
「言ってるでしょう? アタクシは、佐藤マユ。売れない駆け出し作家です♪ 出した本は1冊だけで、ぜんぜん売れません♪ おかげでお金がなくてアパートの家賃も払えない。この数日は、ご飯さえ食べてない。なんとか2巻を書いたけど、さっき編集さんに電話でボツをくらってショックで落ち込んでるの。どこかへ逃げたいと思うけど、天涯孤独だから頼る身内もいない。そりゃあ、死にたい気持ちにもなりますわ♪ そのお気持ち、よくわかりますことよ♪」
「だからそれ私じゃんっ! なんで知ってるのっ!?」
「だってアタクシがマユですもの。うふふ♪」
「ウソ! マユは私よっ! なに言ってんの!? 恰好もヘンだけど、アタマもおかしいんじゃないのっ!?」
「まあ! この恰好は、おかしいのですか? 初対面の印象は大事なので礼装にしたのですけれど。参考にした絵本が間違っていたのかしら?」
「ヘン! すごくヘン!」
「まああ! たいへん! それじゃあ着替えないと」
シンデレラの頭からネコ耳がはえた!
「にゃむ、にゃむ、にゃるり♪」
ドレスの裾を翻してクルリと回ると、甘いバニラの香りが立ちのぼって白い煙が彼女を包み込んだ。煙が消えるとシンデレラはいなくなって、マユにそっくりのマユが立っていた! これといって特徴のない黒髪と黒い目の和風な顔立ち、肩が破れたシャツと穴の開いたデニム、それに貧乳なところまで同じ!
「っっっ!?」
腰を抜かしたマユに、マユ2は微笑みかけた。
「こういう時は、なんて言うのかしら? バンバン? ボン? ああ、思い出したわ! ボンボヤージ♪ どうぞ良い旅を♪」
「良い旅をって、いったい…………」
マユは甘い香りの煙に包まれて意識を失った。