雪に青サギ 第四話
早速、彼女の元には人が集まっていた。歓喜の歌から男子が群がっているのを勝手に予想していたが、男子はほとんど周りにはいなく、クラスの女子に囲まれていた。男子は遠くで彼女を観察している感じだ。
「大地いいなぁ。」
拓人が話しかけて来た。
「押し付けられたんだ。僕もやりたくないよ。隣に並ぶと自分が惨めになる、、、」
「まぁ、でも、お前が適任だろ?男女の壁なく話せるお前だから、先生も選んだんだろ。」
拓人と話していると彼女を囲っていた女子の集団から声がかかる。
「ほら、行ってこいよ。案内役さん。部活の時に何話したか教えろよ。」
「はい、はい、、、」
僕はため息まじりの返事でそれに答えた。
僕は、躊躇なく女子が屯っている中に入っていった。まあ、これも慣れっこだから問題ないが、いつもと違うのは男子からの視線が少しだけ痛いこと。
「この子が先生が言ってたさやかちゃんの案内役ね。」
頭の上に手を置かれて、紹介される。まぁ、言いたいことはあるが、これも慣れっこだ。僕の立ち位置はクラスの弟的な立ち位置らしい。
「初めまして。相川大地って言います。今日からよろしく。」
一応、自己紹介だけ済ました。すると彼女の表情が、少し明るくなった気がした。
「初めまして!!大地くんのこと知ってたから、話せて嬉しくて。」
少し大きな声を出した彼女の言葉にクラスの人間の頭の上に?マークができた。
「どう言うこと?」
「知ってるよ。私もバレー部だから。3兄弟とも、この地域じゃ有名人だもん。私、お姉さんに憧れてこの高校に転校して来たんだもん。」
「わかってるね!!さすが!!」
僕の後ろから勢いよく、拓人が話の輪の中に入ってきた。
「でも、こいつのプレー見たら、お姉さんのことなんか忘れるかもね。こいつすごいから。」
唐突にめちゃくちゃ僕に対するハードルが上がった。
「私も、自信あるから。なら、部活の時間勝負ね。リベロだからいいでしょ?」
「おう。望むところだ。」
僕の了承もなく何故か勝負が決まってしまった。
「僕、何も言ってないんだけど、、、」
「男なら仕掛けられた勝負から逃げるなよ。」
「煽ったのは拓人じゃないか。」
「じゃあ、決まりね。」
まだ、担任に言われた学校案内もしてないのに、勝負の予定だけが決まってしまった。
「じゃあ、今日は姉さん呼ぶか。」
「本当?嬉しい!!」
「マジかよ。今日休もうかな。」
「巻き込んだ責任は取ってもらうから。」
スマホで、姉さんに連絡したらOKの2文字が届いた。