雪に青サギ 第十九話
その後のさやかとの関係は良好。特別仲良くなったわけでもないが、以前のように、無視されることもなくなった。それに応じて、拓人などの冷やかしも熱を帯びてきた。昼休みと部活は3人でいることが増えた。そこに、姉さんと試合後、姉さんと仲良くなった速太が加わるくらい。でかい2人に囲まれていると、余計に自分の小ささが目立つ。速太がいるとそれも、緩和されるし、何より1番可愛がっている後輩が近くに来てくれるのは嬉しい限りだ。
「お前らって、本当に進展ないの?」
ある日の昼休み、いつも通り空き教室で昼食を食べていると急に拓人が切り出してきた。
「なんのことだよ。」
「恋愛感情はないのかって聞いてんの。」
よく2人ともいる状況で、この切り出しができるなって思った。
「あったとしても、拓人には内緒だよ。口が100個ついてるから、一気に広まるだろ?」
「あるんか!?」
「ないよ。ねぇ?」
さやかにふるが反応はない。というよりも視線を下げて少しモゴモゴしている。
「さやかはどうなん?優良物件だと思うよ?こいつ。」
「今の所はないかな、、、」
「そうなんかぁ。これから公式戦も始まるから、その気があるなら早くしたほうがいいぞ。こいつ他校の女子にモテモテだから。」
さっきまで、弁当箱に目線を落としていたさやかの目が急に上がった。
「それってほんとなの?」
「よく試合後に声かけられてたし。」
「そんなことないって。あれ全部兄さんのやつだし。」
「でも、かっこよかったですって言われたことあるだろ?」
「それはあるけど。ないない。だって、僕チビだし。こんな身長の男、さやかも嫌だろ?さやかみたいな人は僕みたいな人好きになんてならないよ。」
軽いノリで、さやかにふった。自虐ネタのつもりだった。
「そんなことないから!!」
さやかはなぜか怒った感じで、途中までの弁当箱を片して、教室に戻った。
「なんかしたのかな?」
「お前本当に、、、なんも言えんわ。」
「?」
「お前、姉さんから聞いてないの?さやかが、ここに転校してきた理由。」
「姉さんに憧れてだって言ってたけど?」
「それはさやかから聞いたんだろ?」
「そうだけど、、、」
「本心を本人に言えると思うか?」
「どういうことだよ。」
「それは自分で探せ。お前にとっては、多数いた1人かもしれないけど、その人にとっては、人生を変えるほどの勇気と影響があるんだからな。」
拓人は、パックの野菜ジュースを一気に啜り、僕を1人にした。
「なんなんだよ。わからねぇから聞いてんだろうが。」




