雪に青サギ 第十八話
試合終了の笛がなると、向こうのチームはえらい盛り上がりようだった。まるで、甲子園の決勝で勝ったチームがマウンドに集まるみたいに、3人で飛び跳ねながら喜んでいた。
「整列お願いします。」
審判役の選手にも注意されるくらいだ。
「どうだった?」
試合後すぐにさやかが話しかけてきた。
「すごかったよ。前とは、全くの別人のプレーだった。」
「どうでしょ!!えへへ。」
わかりやすく照れ笑いをするさやか。
「最初のネット前の超インナースパイクは驚いたな。あんなの初めて見た。」
「私にあったスタイルをお姉さんに教えてもらったんだ。今までは、適当にフェイント混ぜながら打ってればよかったんだけど、それじゃあ、勝てないから。」
「お暑いね。試合で対戦したばかりなのに。」
試合に負けて相当悔しかたたのか、拓人は爪を噛みながら話しかけてくる。
「別にそんなんじゃないよ。いいじゃない。試合が終わったら基本ノーサイドだろ?公式戦じゃないし、振り返るにはいいことだよ。」
最近覚えたばかりのラグビー用語を使って、拓人を諭す。
「そんなことよりも、姉さんに捕まってる速太助けてくれない?」
速太は試合後エンジンがかかりっぱなし姉さんに捕まってしまっていて、練習という名目で可愛がられていた。
「大地が行けばいいだろ?」
「もう少しさやかと話してたいかな。頼むよ。」
僕の発言を聞くと、拓人は今までの悔しそうな表情が一変。悪ガキのような表情になった。
「そうかぁ〜。なら仕方ないなぁ〜。」
語尾も気持ち悪くなっている。
「では、お邪魔虫は退散ということで。」
拓人は、姉さんの方に向かって行った。
「別に邪魔ではなかったけど。ねぇ?」
さやかの顔を見ると、頬が赤らみ、僕から目を逸らした。
「そうだね。でも、私も、もう少し、大地くんと、話したかったから。嬉しいよ?」
極端によそよそしくなるさやか。
「なんか変なこと言った?僕?」
「いいの!いいの!で、何話す?」
「姉さんとはどんな練習したの?」
「お姉さんとは・・・」
そこからは、他の試合を見ながらバレー談義を2人でした。話を聞く限り、姉さんが1番悔しがっていて、半強制的に居残り練習を一緒にしていたみたいだ。申し訳なさが込み上げてきた。




