雪に青サギ 第十四話
大会も近くなってきたので、実戦形式の練習が増え始めた。兄さんの大学のチームとのゲームだったり、引退した男女の先輩とのゲームだったり。あれだけ嫌々言っていた拓人も、兄さんとの試合はとても楽しそうにバレーをしていた。基本的に男女で分かれながら練習をしていたので、さやかとの再戦はなかなか叶わなかった。その間も口は聞けてない。心なしかため息が増えた。このことをダメ元で兄さんに相談すると、「お前、それは恋ってやつだな。」と笑われた。姉さんには相談しなかった。さやかと繋がりがあって、さらっと言いそうで、なんか・・・。初めての感情だったかもしれない。
今日は、練習相手がいなかったから、久しぶりに、男女混合でミニゲームだった。僕の中で少しだけ待ち望んだ練習だった。お約束のように、姉さんがいる。この前やったように、拓人と僕、姉さんとさやかが同じチームになった。でも、今日に限って人数が少なく人チーム3人。リベロの僕も、アタックはしてはいけないけど、アタックラインの内側でセットはしていいということだった。そもそも届かないけど、、、僕のチームのもう1人は、僕と同じくらいの身長の1年生リベロの速太。漢字の山みたいなアンバランスなチームになっていた。
元々は、セッターに憧れていた。兄さんがセッターだから。身近に見えていたスーパースターは地味で点を直接取ることは少なくても、誰よりも試合を支配していた。その姿がカッコよかった。その姿を見て、僕も、トスの練習をしていたけど、この身長ではセッターもできない。おかげで、オーバーハンドレシーブは上手くなった。
「大地さん、このチーム大丈夫でしょうか?」
ほぼ目線が変わらないけど、少し自信がない視線が少し可愛い。
「大丈夫だよ。いざとなれば、雑に拓人にあげれば勝手に点決めてくれるから。だよね?」
「上げてくれれば問題なし。向こうのチーム殺気立ってるから、少し本気でやるから。」
拓人が言うように、異常な殺気を感じた。リベンジに燃えるさやかは少し理解できるが、姉さんが必要以上に燃えていて少し引いた。




