8等星・走り卒業
授業が終わり、いつもの円形劇場でこの話を烏野先輩にすると笑われた。
「カァーッカッカッカッ!やっぱりな」
そろそろとは思っていたが、まさか初バトルが幌春だったとはなと言う。
「知ってるんですか?」
「まぁな、中等部の狩馬 幌春、オリオンを尊敬してる後輩だ」
中等部じゃ有名な奴でよ、オリオンに挑む度胸があるくらいだと準備体操して言う烏野先輩。
「オリオンさんは受けたんですか?」
「受けたぜ、幌春の得意な弓道で」
ただ相手が悪かったなと言う烏野、愛救は不思議そうに何がですかと聞き返す。
「オリオンは神と肩を並べられるくらいの、弓矢の使いだ」
当然、幌春は完敗だった。
でもオリオンはいい腕前だった、また相手してくれと言って手を前に出す。
幌春は驚きつつ、はいって嬉しそうに握手してたと話す烏野。
「そんなことがあったんですね」
「まぁ、分からなくはないな、俺っちもオリオンに挑んで負けた身だからよ」
「烏野先輩も戦ったことあるんですか!?」
中学の時に彼奴に挑んで負けたと言う烏野先輩。
ただ...と言って準備体操をやめた。
「彼奴、基本能力を使わず戦うんだ」
「えっ、どうして」
オリオンは半神半人ってだけあって力も能力も人並み以上神未満だ、彼奴は自分の能力を過信しないところがあると言う。
「能力にあまり頼りたがらない、変わった奴だ」
「誰が変わった奴だ」
その声に驚き、ゆっくりと後ろを振り返ると、オリオンが立っていた。
「居たなら言えよ、ビビるだろ!」
「さぼってないで体を動かせ、それから愛救」
「はい!」
「そろそろ走りを卒業してもらう」
能力が使えない間は体術をマスターしとけと言われた。
確かに、前みたいな事があったら俺は何もできない...
「分かりました、オリオンさんが教えてくれるんですか?」
「そうしてやりたかったが、校内を見回りするから教えられない」
私の代わりに、英理空が教えると言うオリオンさん。
その言葉に体がプルプルと震えてると思ったら、突然大声で叫ぶ五角先輩。
「うおおおおっ、燃えてきたーっ!!」
それに驚いてる俺の横に、烏野先輩が来て小声で言った。
「気を付けろ、英理空は体術が得意だ」
まぁ、加減はしてくれるだろうと肩に手を置かれた。
本当にしてくれるか不安で仕方がない。
「後は頼んだぞ」
そう言ってオリオンさんは行ってしまった。
「愛救少年!俺がしっかり教えてやる!」
分からない事があったら聞いてくれ!と大声で話す五角先輩。
「はい、お願いします」
それじゃあ基本的な型からだ!と言い、教えて貰うことになったのだが...
「はぁっ、はぁっ」
「どうした愛救少年!まだ5分しか経ってないぞ!」
少し教えて貰ってから、一通りやって気付いた、しんどいっ!
「大丈夫か?しんどいなら1つずつでもいいんだぜ」
そう烏野先輩に言われた、でも俺は能力を早く使えるようになりたい。
「いえ、早く型を覚えたいです」
お願いしますと言い構える、五角先輩は嬉しそうにもちろんだ!と親指を立てて言う。
烏野先輩は無理はするなよと言い座っていた。
これは明日筋肉痛だと思いながらも、練習に戻った。