14等星・忍者の正体
保健室
オリオンは愛救たちをサルース先生に任せて、保健室を出て行った。
「それほど酷い怪我じゃなくてよかった」
都市伝説組は神出鬼没で、うちの生徒をいつも傷つける非道な奴等なのと言うサルース先生。
でも、よかったわねと言うサルース先生の言葉に、不思議に思う愛救。
「河太郎君が来なかったらどうなっていたことやら」
「あの忍者さんのことですか?」
「そうよ、妖夜行学園の生徒よ」
「生徒なんですか!?」
彼は大きいからよく間違われるのよと言うサルース先生。
全く気付かず、大人だと思っていた愛救。
「それに彼は、オリオンと肩を並べるほどの実力者で、忍術・体術は妖夜行学園でトップを取るほど」
「そんなに凄い人だったんですね...」
「今は忍怪の会長をしているのよ」
「忍怪?」
この学園でいう生徒会の事よと言うサルース先生。
でも、どうしてここに他の学園の生徒が来たのか聞くと。
「実は今日、学園同士の集会があるからよ」
「集会?」
「そっ、本当は他学園の子も来るんだけど、どうやら忙しいみたいで来れないみたい」
「他学園って、同盟でも結んでいるんですか」
おっ、正解!と言うサルース先生、本当ですか!?と驚いて聞くと、本当と返される。
「というのも、全てオリオンがやったことなんだけどね」
「オリオンさんって一体...」
「とにかく、明日は学校休んでいいから安静にしてね」
「はい」
オリオンが戻って来るまで、ここに居てねと言われて、保健室のベッドで横になって眠ってしまった。
_______
その頃、生徒会室では
「河太郎、後輩を助けてくれてありがとう」
「気にすんなよ、オイラはオリオンに会いたかったし」
「歯が浮くようなことよく言えるな」
烏君はそういうの言えないもんねと笑って言う河太郎、ムカつくなと睨みつける羽白。
「それより、寺には報告をしたのか?」
「したぜ、もう捕まったってさ」
それならいいと言って椅子に座るオリオン、羽白は俺っちと英理空が愛救たちを家に送って行くから、
お前は先に帰れよと言う。
「平気だ、私も愛救たちを...」
「いいんじゃねぇの、オイラはオリオンとちょっと話があるし」
河太郎はオリオンの横に立って言う、羽白にお前じゃ心配だなと言われる。
「なんだよ、烏君やきもち?」
「そんなんじゃねぇよ!」
「やはり皆で帰るか!」
英理空の言ったことに、お前は黙ってろ!と息ぴったりに言う羽白と河太郎。
その光景に小さく溜息をつくオリオン。
「羽白、英理空、済まないが河太郎と話をつける」
愛救たちを任せても構わないか?と言う、その言葉に羽白は分かったと言って生徒会室を出ようとする。
「その馬鹿に何かされたら言えよ、じゃあな」
「オリオン!また明日だ!」
羽白と英理空は生徒会室を出て、保健室に向かった。
2人きりになり、河太郎がオリオンを見る。
「これで話せるな、今日は集まりだってのに他の奴は来れねぇってよ」
「仕方がない、それで河太郎、話とはなんだ?」
頬をかきながら、途切れ途切れに話し出す。
「明日休校になるだろ、そのっ、久々にオイラと手合わせしてくれないか」
昨日の授業でミスしちまって、流石にまずいから頼む!と言う河太郎。
それにオリオンは全く、仕方がない奴だと言い椅子から立ち上がる。
「明日の授業は何時限目までだ」
「オイラ優秀だから、4時限目まで」
じゃあ、昼頃に闘技場内に来いと言い生徒会室を出ようとした時。
聞き忘れたんだけど、あの1年坊主の能力開花手伝ってんのかと言う河太郎。
その言葉にドアを開けようとした手を止める。
「そうだ、何か問題があるか?」
河太郎を睨むように見るオリオン、それに動じずヘラヘラと話す。
「別に、ただあのオリオンがなぁ~と思っただけ」
「...」
「そんな不貞腐れ顔したって、オイラには可愛くしか見えないぞ」
アホがと言って生徒会室を出て行く、その後を追いかける河太郎。