10等星・喧嘩
「大上君、どうしたんだ?」
「よぉ、丁度いい所に来たな」
能力のこと教えてやっから円形劇場に行くぞと言う大上君、流石にやりっぱで行くのはまずい。
今は先生の頼まれごとをしてるから、明日でもいいかな?と返す。
「駄目だ、今来い」
大上が早くしろと言い、苛立ち始める。
愛救は分かったよ、すぐに行くから待ってくれ!と言う。
「愛救君、狩馬君、こっちは終わったよ...大上君!」
何してるのと言い近付く未央ちゃん、大上君は嫌そうな顔をして俺の首根っこを掴む。
「行くぞ、あの女が居ると面倒だ」
「また喧嘩する気なの!」
やめて、お願いだからと大上の腕を掴む未央、それにうるせぇ!と言い未央を振り払う。
「きゃっ」
「未央ちゃん!」
腕を押さえて倒れてしまう未央、愛救は大上から抜け出し駆け寄る。
大上は一瞬、その場に留まるも舌打ちをして去ってしまった。
「大上君!...未央ちゃん、すぐに保健室に行こう」
未央ちゃんを抱えて保健室に向かった、狩馬君も一緒に来てくれた。
保健室のドアを開けて中に入る、サルース先生が包帯をしまっていた。
「先生!未央ちゃんが...」
「どうしたのその怪我!」
とりあえずベッドに寝かせて、すぐに治療するからと言われて未央ちゃんを下ろす。
サルース先生が能力を使って治していく。
「なにがあったの?」
「階段から落ちて、立てかけてあった物に当たって」
俺が大上君の事を話そうとしたら、未央ちゃんが全く違うことを話す。
「愛救君、狩馬君、心配かけてごめんね」
「...未央ちゃん」
「雪星さん、今日はもう帰ってゆっくり休んで」
はい、愛救君、狩馬君、後はお願いと言って保健室を出て行く。
サルース先生が俺たちを見て、本当は何があったの?と聞かれる。
「実は雪星先輩が、連れて行かれそうになった蛇好先輩を助けようとして、あの怪我を」
「誰にやられたの」
「不良の大上先輩です」
彼がそんなことを、私から担任に言っといてあげると言うサルース先生。
大上君のあの表情が気になる...
「サルース先生、俺のせいで未央ちゃんが怪我したんです、俺が何とかします!」
「どうする気なの?」
「明日、大上君に話し合いします」
その言葉に驚く先生と狩馬君、説得してどうにかしますと言って保健室を出て行った。
声を掛けられて振り返ると、狩馬君が駆け寄る。
「今の嘘ですよね、不良の彼にそんなことが通用するわけがない」
「...やっぱり駄目か~」
何とかしようと思ったんだけど言うと、狩馬は少し考えてスッと手を挙げて言う。
「俺も手伝っていいですか?」
「狩馬君、でも君は...」
俺は蛇好先輩みたいに能なしじゃないのでと言う、その言葉は結構心に来るんだけどと言う愛救。
「何かあったら俺が守ります、オリオン先輩もきっとそうしますし」
「ありがとう、何とか大上君を説得してみせるよ」
明日の放課後、大上先輩を教室に呼びましょうと言う狩馬君。
頑張って説得するね!と言うと、応援してますと言ってくれる。